フランス・INSERMのFabrice Herin氏らによる縦断的疫学調査の結果、疼痛発症に関連する心理社会的および身体的な職業関連因子は、性別によって異なることが明らかにされた。筋骨格系疼痛(MSP)の発症には、心理社会的および身体的因子が関与していることが知られている。しかし、これらの因子と、特定の局所MSPあるいは多部位疼痛との関連については明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「職業関連性MSPを効果的に予防するには、関連因子の性差やリスク因子を考慮しなければならない」とまとめている。Pain誌2014年5月号(オンライン版2014年2月18日)の掲載報告。
研究グループは、局所MSPおよび多部位疼痛の発症における職業関連因子の影響を男女別に評価する目的で、1990~1995年のフランス縦断的前向き疫学調査(ESTEV)に参加した1938年、1943年、1948年および1953年生まれの1万2,591例(男性65%、女性35%)を対象に、自記式質問票を用いて個人的因子や職業曝露などについて調査した。
主な結果は以下のとおり。
・1995年時点の調査で、局所MSPの発症率は17%、多部位疼痛の発症率は25.6%であった。
・女性では、非常に反復的な運動が首/肩の疼痛の、姿勢や振動が上肢痛/腰痛の、道具を使う仕事が上肢痛の予測因子であった。
・男性では、肉体労働と振動が首/肩の疼痛、姿勢や肉体労働が下肢痛/腰痛、肉体労働および道具を使う仕事が上肢痛の予測因子であった。
・肉体労働や振動は、女性および男性いずれにおいても多部位疼痛と関連した。
・女性のみ、心理的因子が上肢痛および3~4ヵ所の解剖学的部位における疼痛のリスク因子であった。
(ケアネット)