妊娠中のプロゲステロン低値 女児のアレルギー性気道疾患リスクを高める

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/13

 

 妊娠中のプロゲステロンの値が低いと、生まれた女児のアレルギー性気道疾患のリスクが高くなる可能性があることが、ドイツのハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのIsabel R.V.Hartwig氏により報告された。Journal of Molecular Medicine誌オンライン版2014年6月3日号の掲載報告。

 介入研究のみならず観察研究においても、母親が出産前にアレルギー抗原に曝露すると、生まれてくる子供のアレルギー性気道疾患のリスクが高くなることが報告されている。しかしながら、このリスクに関係しているバイオマーカーについての知見はあまり明らかになっていない。

 そこで、妊婦を対象に、内因的・外因的要因(心理社会的、内分泌的、生活スタイルのパラメータを含め)と出生児におけるその後のアレルギー性気道疾患のリスクとの関係を調べた。さらに、その要因を特定するため、アレルギー性気道反応のマウスモデルにより、機能的なテストも実施した。

 本研究は409人の妊婦(妊娠4~12週)を対象としたプロスペクティブ・コホート研究である。妊娠中の曝露環境と生まれた子供の3~5歳時点におけるアレルギー性気道疾患との関係を多重ロジスティック回帰分析により検討した。

 また、出産前にストレスを与えたBALB/cの母マウスから生まれた成体マウスに対し、オボアルブミンの感作により喘息を誘発させた。出産前のストレスを与えることに加え、一部の妊娠している母マウスには、ジヒドロジドロゲステロンから産生するプロゲステロンにより治療を行った。

 主な結果は以下のとおり。
 
・ヒトにおいては、妊娠初期にプロゲステロンの値が高かった場合、生まれた女児のアレルギー性気道疾患(喘息または鼻炎)のリスクが低かったが(調整後オッズ比:0.92、95%CI:0.84~1.00)、男児の場合には、その傾向は認められなかった(調整後オッズ比:1.02、95%CI:0.94~1.10)。

・マウスにおいては、ストレスを与えた母マウスに出産前、ジヒドロジドロゲステロンを補充すると、生まれた子供のうち雌のみにストレス誘発による気道過敏性の減弱が認められた。

(ケアネット 鎌滝 真次)