これまでの観察研究で、ビタミンDは、がんの発症率に対する効果よりも死亡率に対する効果のほうが大きいことが示唆されている。しかし、ビタミンD補充に関する既存の無作為化比較試験では、1次エンドポイントががん発症率や死亡率ではなかったため、関連性の検討が限られていた。そこで、米・ハーバード大学公衆衛生学部N Keum氏らは、ビタミンD補充とすべてのがんの発症率および同死亡率の無作為化比較試験のメタ解析を行い、British Journal of Cancer誌オンライン版2014年6月10日号に報告した。
メタ解析の結果、2~7年間のビタミンD補充は、がんの発症率にはほとんど影響がなかった(400~1,100IU/日、サマリー相対危険度[RR]:1.00、95%CI:0.94~1.06、I2=0%、4試験、4,333例)。しかし一方で、がんによる死亡率を有意に減少させた(400~833IU/日、サマリーRR:0.88、95%CI:0.78~0.98、I2=0%、3試験、死亡1,190例)。
これらの結果から、2~7年間のビタミンD補充はがん死亡率への効果に限定される可能性が示唆された。
(ケアネット 金沢 浩子)