大腸がん肝転移切除患者の予後予測バイオマーカー

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/09

 

 大腸がん肝転移の根治的切除により長期的ベネフィットがもたらされる患者の割合は40%以下である。そのため、臨床管理を改善し、無意味な手術を減らすために、予後予測バイオマーカーが必要となる。上皮成長因子受容体(EGFR)およびプロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素2(PTGS2)の発現が、発がんおよび生存期間と関連したことから、オランダ・VU大学医療センターのJ A C M Goos氏ら(the DeCoDe PET group)は、大腸がん肝転移切除後の患者におけるEGFRとPTGS2発現の予後予測的価値を調べた。その結果、これらの発現は、切除可能な大腸がん肝転移患者における予後予測分子バイオマーカーであることが示唆された。British Journal of Cancer誌オンライン版2014年7月1日号に掲載。

 著者らは、1990年~2010年に肝切除術を受けた患者の多施設コホートより、ホルマリン固定パラフィン包埋大腸がん肝転移組織および原発腫瘍標本を組織マイクロアレイ(TMA)に組み込んだ。TMAをEGFRおよびPTGS2について免疫組織化学染色した。大腸がん肝転移組織での発現と全生存期間との関連のハザード率比(HRR)は500-fold交差検証法で計算した。

 主な結果は以下のとおり。

・EGFRとPTGS2の発現は、それぞれ、323例と351例の患者で認められた。
・大腸がん肝転移におけるEGFR発現は、予後不良と関連し(HRR 1.54、p<0.01)、交差検定によるHRRは1.47(p=0.03)であった。
・PTGS2発現も予後不良と関連し(HRR 1.60、p<0.01)、交差検定でのHRRは1.63(p<0.01)であった。
・EGFRとPTGS2の発現は、標準的な臨床病理学的変数での多変量解析後においても、予後と関連していた(それぞれ、交差検定でのHRR 1.51、p=0.02、同HRR 1.59、p=0.01)。
・一般的に適用された全身療法レジメンで層別化した場合、全身療法を受けなかった患者のサブグループでのみEGFRとPTGS2の予後予測価値が示され(それぞれ、HRR 1.78、p<0.01、HRR 1.64、p=0.04)、EGFRとPTGS2の両方とも高度に発現した場合に予後が最も悪かった(HRR 3.08、p<0.01)。
・大腸がん肝転移におけるPTGS2の発現は、同一患者の原発腫瘍での発現に相関していた(p=0.02、69.2%の一致)。

(ケアネット 金沢 浩子)