スチリペントールの薬物動態 再評価

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/18

 

 スチリペントールは、2007年1月に欧州で承認され、日本国内ではディアコミット ドライシロップ/カプセルとして2012年11月より販売開始となっているドラベ症候群治療薬である。ドラベ症候群は、原因不明のてんかん症候群であり、発生頻度は2~4万人に1人とされ、発達などへの影響を伴う小児てんかんの中でもきわめて治療が困難な疾患である。
 今回、フランス・パリ第五大学のSophie Peigne氏らはスチリペントールの消失段階での特性を明らかにし、非線形の薬物動態学的挙動を示すことを確認した。著者らは、さらなる薬力学的・薬物動態学的研究は、成人のドラベ症候群患者の治療におけるスチリペントールの最適な用量を決定するのに有用だと述べている。Epilepsy research誌2014年7月号掲載の報告。

 治験段階を含め、スチリペントールが小児のドラベ症候群患者に投与され始めてから10年以上が経ち、患者は青年へと成長している。著者らは、ここでいま一度、成人におけるスチリペントールの薬物動態を正確に再評価することが重要であるとして、本検討を行った。

 そこで、12人の健康成人に対して、スチリペントールの忍容性と薬物動態を調査するために二重盲検プラセボ対照用量範囲探索試験を行った。各群、それぞれ1週間のウォッシュアウト期間を経て、スチリペントールの3つの用量(500、1000、2000mg)を投与された。スチリペントールの薬物動態は、非コンパートメント解析により各用量について分析した。血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)、消失半減期(t1/2,z)および最高血中濃度(Cmax)は用量間比較のために算出した。安全性は、臨床的および生物学的基準の両方をもとに評価された。

 主な結果は以下のとおり。

・先行研究の結果とは反対に、消失相における濃度のリバウンドは見られなかった。これは、食物摂取の結果である可能性がある。
・AUCは用量が増えるにつれて、比例以上の増加がみられた。これはt1/2,zの大幅な増加と関連し、スチリペントールのミカエリス・メンテンの薬物動態が確認された。
(500、1000、2000mgそれぞれ:AUC中央値:8.3、31、88mgh/L、t1/2,z中央値:2、7.7、10時間)。
・しかしながら、標準化用量でのCmaxは、有意な用量間の差がみられなかった。
・ミカエリス・メンテン変数の中央値は、最大消失速度(Vmax)が117mg/h、ミカエリス定数(Km)が1.9mg/Lであった。
・本研究中に、安全性に関する懸念は認められなかった。

スチリペントール(ディアコミットドライシロップ/カプセル)新薬情報(2012/11)

(ケアネット 岸田有希子)