国立台湾大学医学院附設病院のKuo-Hsing Chen氏らは、治癒切除を受けた早期結腸がん患者において、糖尿病の有無と予後の関連性を調査した。その結果、早期結腸がん治癒切除後の患者では、糖尿病が全死亡率増加の予測因子であることが示唆された。Oncologist誌オンライン版2014年7月24日号に掲載。
著者らは、2004年1月1日~2008年12月31日にステージI/IIの結腸がんと新規に診断され、治癒切除を受けた結腸がん患者のコホートを、台湾における3つの患者データベースから選択した。また、2型糖尿病、糖尿病治療薬の使用、他の合併症、生存転帰に関する情報を収集し、糖尿病合併患者とそれ以外の患者における結腸がん特異的生存率(CSS)および全生存率(OS)を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・結腸がん6,937例が選択され、そのうち1,371例(19.8%)が糖尿病に罹患していた。
・糖尿病を合併する結腸がん患者は、合併していない結腸がん患者に比べ、高齢で、補助化学療法を受けていることが少なかった。一方、腫瘍ステージおよびグレードは同等であった。
・糖尿病を合併していない結腸がん患者に比べ、合併している結腸がん患者は、OS(5年OS:71.0%対81.7%)、CSS(5年CSS:86.7%対89.2%)ともに有意に低かった。
・多変量解析で年齢、性別、ステージ、補助化学療法、合併症を調整後も、全死亡率においては、糖尿病は独立した予後因子であったが(調整ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.18~1.49)、がん特異的死亡率においてはそうではなかった。
・糖尿病の薬物療法を受けた結腸がん患者において、インスリンを使用していた患者は使用していない患者よりもCSSとOSが有意に低かった。
(ケアネット 金沢 浩子)