東京慈恵会医科大学 皮膚科助教の谷戸 克己氏らは、日本人58例のモザイク神経線維腫症1型(NF1)の臨床像について調査した。NF1は同腫瘍抑制遺伝子変異が原因の常染色体優性の遺伝性疾患であり、時にモザイク形で現れることがある。体節に認められるNF1(Segmental NF1)は、一般にNF1突然変異の身体的モザイクとみなされており、モザイクNF1を有する患者は体節に限られるというNF1の典型的特性があることは知られていた。Journal of Dermatology誌2014年8月号(オンライン版2014年7月16日号)の掲載報告。
研究グループは、慈恵医大病院(2004~2007年)および同第3病院(2007~2011年)で認められたモザイクNF1患者58例の臨床上をレトロスペクティブに調べた。これまで身体的または生殖的モザイク型については検討されていなかった。
主な結果は以下のとおり。
・患者58例は、女性42例、男性16例で、年齢は1~69歳、平均年齢は23.4歳であった。
・患者は次の4群に分類された。(1)色素変化(カフェオレ斑、しみ)のみ(32例)、(2)神経線維種のみ(5例)、(3)神経線維種および色素変化(13例)、(4)弧発性の叢状神経線維腫(8例)。
・病変部は多岐にわたった。
・疼痛や圧痛を伴う叢状神経線維腫を呈した患者を除けば、大部分の患者で症状はみられなかった。
・リッシュ結節はほとんどみられなかった。
・特異的なNF1合併症(言語発達遅滞1例、骨異形成3例)がみられたのは、58例のうち4例(6.9%)であった。
・2例の患者は、全身性NF1を有する小児を介して確認された。
以上を踏まえて著者は、「叢状神経線維腫患者を除けばモザイクNF1を有する患者は、疾患関連の合併症リスクは低かった。しかし、彼らの子供が全身性NF1を有するリスクがあることに注意を促す必要がある」とまとめている。
(ケアネット)