日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/09/25 日本の認知症高齢者に対する向精神薬の使用状況を、医療経済研究機構の奥村 泰之氏らが調査した。その結果、いくつかの国では、認知症高齢者への抗精神病薬使用に対し、安全上の警告が出されているにもかかわらず、日本では適応外の抗精神病薬使用がわずかではあるが増加していた。International psychogeriatrics誌オンライン版2014年9月12日号(2014年11月5日訂正公開)の報告。 2002~2010年の社会医療診療行為別調査(SMCA-PHI、毎年6月審査分の全国代表断面調査)データを利用した。コリンエステラーゼ阻害薬が処方された65歳以上の外来患者1万5,591例における調査月の向精神薬使用を調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・2008~2010年における、認知症高齢者に対する向精神薬は、鎮静薬・睡眠薬(27.3%)、抗精神病薬(21.3%)、抗うつ薬(11.4%)、気分安定薬(2.8%)であった。 ・2002~2004年と2008~2010年を比較すると、第二世代抗精神病薬の使用が、4.9%から11.2%に増加し、第一世代抗精神病薬の使用は、17.4%から12.1%に減少していた。 ・全体の抗精神病薬使用の普及率で調整後、抗精神病薬の使用は1.1倍増加していた。 ・クエチアピンが4.8倍増加、リスペリドンが1.8倍増加していた一方で、ハロペリドールは2.3倍減少した。 本結果を踏まえ著者らは、「認知症に伴う重篤な興奮、攻撃性、精神症状に対する抗精神病薬の有効性について、緊急に評価する必要があることが示された。さらに、抗精神病薬全体の使用を減少させるために、心理社会的介入および抗精神病薬の離脱戦略が必要である」とまとめている。 関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症への新規抗精神病薬、有害事象のモニタリングが不十分 脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Okumura Y, et al. Int Psychogeriatr. 2014 Sep 12:1-9. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) 高齢者の睡眠薬の選択、ケアマネの約6割「適正薬へ見直し必要」と回答 医療一般(2017/10/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) 今、注目のエビデンス(2018/07/02) 第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】(2018/07/25) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2(2018/04/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07)