森林や農地など、自然の近くに家があるほど、小児のアトピー性感作が少ないことが、フィンランド・ヘルシンキ大学 のLasse Ruokolainen氏らにより報告された。
Allergy誌オンライン版2014年11月11日掲載報告。
西洋的なライフスタイルはアレルギーや喘息、その他の慢性炎症性疾患の高い有病率と関連することが知られている。Ruokolainen氏らはこのことを明らかにするため、自然環境とアトピー性感作が関連しているとの仮説を立て、これを検証した。
仮説
環境微生物叢を含む生物多様性との接触が少ない小児では、ヒト共生微生物叢の構成や免疫寛容に悪影響が生じる。
方法
●解析には、フィンランドとエストニアの4つのコホート試験を用いた。
●6ヵ月~20歳の小児・青年の合計1044人のデータを用いた。
●アトピー性感作の有無は、吸入アレルゲンの特異的IgE抗体測定で評価した。
●自宅周辺の自然環境はCORINE2006分類(土地被覆データ)により、(1)森林、(2)農地、(3)市街地、(4)湿地、(5)水辺の近く、の5つに分類された。
結果
●森林または農地から2~5km以内に自宅があることと、アトピー性感作との間に、有意な逆相関の関連が認められた。
●この関連は6歳以上の小児でみられた。
●土地被覆データにより、健康人の皮膚のプロテオバクテリアの相対存在量には20%ものばらつきがみられることが示された。
●上記より、自然環境が共生微生物叢に強い影響を与えるという仮説が支持された。
考察
●自宅周辺に森林や農地など緑の多い環境があることは、小児アトピー感作リスクと逆相関の関連がある。よって、小児のうちに自然の多い環境にいることは、とくに重要と考えられる。
●環境による影響は、免疫寛容に影響を及ぼす共生微生物叢の環境微生物叢によってもたらされる可能性がある。
(ケアネット 森 幸子)