アトピー治療にDHAが有用?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/09

 

 アトピー性皮膚炎モデルマウスの実験において、ドコサヘキサエン酸(DHA)が治療戦略として有効であることを示唆する所見が得られた。韓国・済州大学校のSang-Chul Han氏らが報告した。DHAの薬効は多くの疾患について報告されているが、これまで免疫系を調節する機序については十分には解明されていなかった。今回の所見を踏まえて著者は、「DHAは、慢性炎症性疾患に対して有用な治療戦略となると思われた」とまとめている。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2014年11月18日号の掲載報告。

 制御性T細胞(Tregs)は、さまざまな免疫細胞の分化や増殖を抑制し、免疫応答においてカギとなる役割を果たす。研究グループはDHAが、アレルギー反応を抑制するのか、またCD4Foxp3T細胞生成を上方制御するのかを検討した。また、アトピー性皮膚炎モデルマウスに、DHAとともにIL-10/TGF-β修飾マクロファージ(M2マクロファージ)を注入した場合の効果についても調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・DHA投与は、TGF-β依存性CD4Foxp3Tregs生成を上方制御することが示された。
・DHAは、T細胞反応低下と、Tヘルパー(Th)-1とTh2およびTh17細胞と関連するサイトカインを下方制御した。
・CD4T細胞へのFoxp3Tregsの分化は、DHA-M2マクロファージによって直接的に媒介されたものであり、作動因子のマクロファージを不活化し、CD4T細胞の増殖を阻害した。
・DHAは、アトピー性皮膚炎モデルマウスで治療効果を示した。
・これらの結果は、DHAがM2マクロファージの機能を強化し、Tregs生成が炎症性免疫障害からマウスを効果的に保護することを示すものであった。
・以上から、DHAは慢性炎症性疾患の有用な治療戦略になりうると考えられた。

(ケアネット)