米国・Ann & Robert H. Lurie Children's HospitalのAnne T. Berg氏らは、小児てんかん患者の寛解、再発、薬剤抵抗性の発生頻度を20年間にわたり前向きに調査した。その結果、てんかんのタイプや脳損傷あるいは神経系障害の有無などにより予後は多様で、複雑な経過をたどることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2014年11月28日号の掲載報告。
検討は、新規にてんかんと診断された小児の地域ベースコホートを対象とし、頻繁な電話と定期的な診療記録のレビューにより、最長21年間前向きに調査した。寛解期間1、2、3、5年間それぞれの達成状況やその後の再発について記録し、分析した。そのほかのアウトカムとして、薬剤抵抗性(2剤を適正に使用しても発作抑制不能)、2年以内の早期寛解および早期薬剤抵抗性、最終評価時点での完全寛解(CR-LC:最終評価時点で5年間発作および薬物治療なし)についても評価した。発作の経過に関する複合的アウトカムを、早期の持続的寛解およびCR-LC(最良好群)から1年寛解未達成(最不良群)までの8カテゴリーに分けて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者は613例であった。そのうち516例が10年以上の追跡を完了した。
・初回寛解1年達成率は95%、2、3、5年達成率はそれぞれ92%、89%、81%であった。その後の再発は、それぞれ52%、41%、29%、15%で認めた。
・再発後に多くが再び寛解を得た。1人につき記録された再発後寛解は、初回寛解1年達成者では最高7回、同2年および3年達成者では最高5回、同5年達成者では最高2回を記録した。
・全期間における薬剤抵抗性の発生率は118例(22.9%)、早期薬剤抵抗性(2年以内)は70例(13.6%)、早期寛解は283例(54.8%)、CR-LCは311例(60.3%)であった。
・複合アウトカムの発生率は、CR-LCを認める早期の持続的寛解(172例、33%)、CR-LCを認める後期の持続的寛解(51例、10%)、1回の寛解-再発を繰り返した後のCR-LC(61例、12%)、2回以上の寛解-再発を繰り返した後のCR-LC(27例、5%)、さまざまな非CR-LCアウトカム(179例、35%)、1年寛解未達成(26例、5%)であった。
・アウトカムの分布は、てんかんのタイプや脳損傷あるいは神経系障害の有無など各グループ間で相違がみられた(p<0.0001)。
・小児てんかんにおける発作の予後は、非常に多様であることが示唆された。複雑な過程をたどることが明らかになった今回の所見は、成人期を迎える若い患者が、てんかんによって受ける影響を理解するための取り組みを促進すると思われた。
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