腰痛は患者の心身を悪化させ医療費を増やす:日本発エビデンス

提供元:ケアネット

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公開日:2015/03/27

 

 世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases)によれば、腰痛は世界的に障害の主な原因となっている。米国・ファイザー社のAlesia B Sadosky氏らはNational Health and Wellness Survey(NHWS)を行い、日本人において腰痛の重症度は健康状態の悪化と有意に関連していることを明らかにした。臨床との関連のみならず、間接および直接経費との関連も示されている。Journal of Pain Research誌2015年2月25日の掲載報告。

 2013年に日本で実施されたNational Health and Wellness Survey(NHWS)のデータ(3万例)を基に解析し、腰痛あり群と対照群(腰痛なしの中から傾向スコアマッチング法を用いて選出)とで重症度別に、健康状態(SF-36 v2の精神的側面ならびに身体的側面のQOLサマリースコア、健康効用値)、労働生産性(仕事の生産性および活動障害に関する質問票の健康全般スコア)、医療資源の利用および1人当たりの年間経費を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・腰痛群(過去1ヵ月間に腰痛ありと回答)は1,897例(6.32%)であった。そのうち軽度が52.45%、中等度が32.79%、重度が14.76%であった。
・重症度が高くなるほど各評価項目のスコアは有意に低下した(いずれの項目もp<0.05)。
 精神的側面のスコア…対照群48.10、腰痛群;軽度群46.99、中等度群42.93、重度群40.58
 身体的側面のスコア…それぞれ52.93、50.29、46.74、43.94
 健康効用(health utilities)のスコア…それぞれ0.76、0.72、0.66、0.62
・間接費は、中等度腰痛群(169万円)および重度腰痛群(188万円)が、対照群(95万円)との比較において有意に高かった(どちらもp<0.05)。
・直接費は、重度腰痛群(133万円)のみ対照群(54万円)より高い傾向がみられた(p=0.05)。

(ケアネット)