急性心筋梗塞(AMI)の発症は、発症数日前の黄砂曝露と関連することが、済生会福岡総合病院の松川 龍一氏らの研究により明らかになった。Circulation. Cardiovascular quality and outcomes誌2014年9月号の報告。
黄砂は、中国やモンゴルの砂漠や乾燥地域の砂塵が強風によって上空に巻き上げられ、春を中心に日本にも飛散する。最近、この黄砂の曝露による健康被害への懸念が高まっている。
本研究では、黄砂がAMIの発症率と関連しているかどうかを明らかにするために検討を行った。
福岡県の4施設でAMI発症から24時間以内に入院した心筋梗塞症例連続3,068例のカルテと、2003年4月から2010年12月に黄砂が観測された日のデータを用いて時間層別化症例クロスオーバー試験を実施し、黄砂と急性心筋梗塞の発症率との関連性を検討した。条件付きロジスティック回帰分析を用い、周囲温度および相対湿度をコントロールした後、黄砂に関連するAMIのオッズ比を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・入院4日前の黄砂発生は、AMIの発症と有意な関連が認められた(オッズ比:1.33、95%CI:1.05~1.69)。
・入院0~4日前の黄砂発生は、AMIの発症と有意な関連が認められた(オッズ比:1.20、95%CI:1.02~1.40)。
(ケアネット 武田 真貴子)