NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/16 最近の研究で、近赤外分光法(NIRS)が大うつ病性障害(MDD)の診断支援ツールとして臨床使用可能であることが示されている。しかし、認知タスク施行中のNIRSシグナルの変化がうつ病の状態に依存しているのか、あるいはうつ病の特性に依存しているのか、またNIRSにより治療反応の神経学的予測が可能か否かは明らかとなっていない。昭和大学の富岡 大氏らは、うつ病の診断と治療におけるNIRSの使用意義を明らかにするため、MDD患者を対象に、抗うつ薬治療後の機能的神経画像の縦断的研究を行った。その結果、NIRSシグナルの変化がうつ病の疾患特異的マーカーになりうること、および抗うつ薬の効果を予測するバイオマーカーになり得る可能性を示した。PLoS One誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、52チャンネルNIRSを使用し、薬物未治療のMDD患者における抗うつ薬治療後の前頭部血行動態の変化を、縦断研究にて調べた。薬物未治療のMDD患者25例および健常対照(HC)62例を対象とした。抗うつ薬治療前後にNIRSスキャンを実施し、治療後の言語流暢性課題(VFT)実施中のオキシ-ヘモグロビン濃度[oxy-Hb]の変化を測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・MDD患者では、ベースライン期の両側前頭葉および側頭葉におけるVFT実施中の[oxy-Hb]値が、HCに比べ有意に減少した。 ・MDD患者は抗うつ薬投与後にうつ症状が有意に改善したにもかかわらず、抗うつ薬治療前後で[oxy-Hb] 値に変化は認められなかった。 ・MDD患者では、ベースライン期の両側下前頭回および中側頭回におけるVFT実施中の平均[oxy-Hb]値とうつ症状改善との間に有意な関連が認められた。 ・これらの結果は、VFTに対応する前頭葉機能低下は、うつ病の状態像マーカーというよりも、うつ病の疾患特異的マーカーとなる可能性を示唆する。 ・さらに、治療開始前のNIRSシグナルが、患者の抗うつ薬治療に対する臨床反応を予測するバイオマーカーとなりうる可能性が相関分析により示された。 ・本研究により、NIRSがうつ病の診断と治療に応用可能であることを支持するさらなるエビデンスが提供された。 関連医療ニュース うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Tomioka H, et al. PLoS One. 2015;10. eCollection 2015. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 冠動脈疾患へのPCI、FFRガイド下vs.IVUSガイド下/Lancet(2025/04/18) 症候性発作性AFのアブレーション、パルスフィールドvs.クライオバルーン/NEJM(2025/04/18) iPS細胞移植、パーキンソン病患者の脳内でドパミン産生を確認/京大(2025/04/18) カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起/日本糖尿病学会(2025/04/18) 非専門医による診療機会を考慮、成人先天性心疾患診療ガイドライン改訂/日本循環器学会(2025/04/18) 通院費増で遺伝子変異に関連した治験への参加率が低下、制度拡充が必要/国立がん研究センター(2025/04/18) 双極症における片頭痛と関連する臨床的特徴(2025/04/18) 臓器の生物学的老化の加速は疾患リスクに影響する(2025/04/18) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)