アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/06

 

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

 レビューは、2015年3月2日時点でALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerを検索して行った。AD患者へのリバスチグミン治療について12週以上の検討を行っており、効果についてプラセボ並行群比較を行っている、またはリバスチグミンの2製剤が比較検討されているすべての非交絡二重盲検無作為化対照試験を適格とした。試験適格基準の判定、試験の質の評価、データ抽出は、1人のレビュー著者(筆頭執筆者)が行った。13試験が適格基準を満たして組み込まれた。試験期間は12~52週。古い年代の試験では12mg/日用量のカプセル剤の検討が行われており、2007年以降は、4.6、9.5、17.7mg/日の経皮パッチ製剤による検討が報告されていた。主要解析では、リバスチグミン経口投与6~12mg/日もしくは経皮的投与9.5mg/日の安全性および有効性について、プラセボと比較検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析には、7試験3,450例のデータが組み込まれた。すべてが多施設試験で、被験者のAD程度は軽症~中等度、平均年齢は約75歳であった。
・治療26週後、リバスチグミン群はプラセボ群と比較して、認知機能(ADAS-Cog評価で平均差[MD]:-1.79、95%信頼区間[CI]:-2.21~-1.37;6試験3,232例)、Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア(MD:0.74、95%CI:0.52~0.97;6試験3,205例)、ADL(標準化平均差[SMD]:0.20、95%CI:0.13~0.27;6試験3,230例)について、より良好なアウトカムと関連していた。
・また、変化なし、あるいは悪化したリバスチグミン治療患者の割合は小数であり、医師による全般印象度の変化が認められた(オッズ比[OR]:0.68、95%CI:0.58~0.80、7試験3,338例)。
・行動変化は3試験で報告されていた。プラセボとの差はみられなかった(SMD:-0.04、95%CI:-0.14~0.06、3試験1,529例)。
・介護者への影響の評価は1試験で報告されていた(NPI-D尺度を利用)。プラセボとの差はみられなかった(MD:0.10、95%CI:-0.91~1.11、1試験529例)。
・全体として、リバスチグミン群の被験者のほうが、試験脱落者(OR:2.01、95%CI:1.71~2.37、7試験3,569例)、試験期間中の有害事象経験者(同:2.16、1.82~2.57、7試験3,587例)が約2倍多かった。
・副作用は、経皮パッチ剤のほうがカプセル剤よりも少ないようであったが、有効性は類似していた。
・エビデンスの質はレビューされたすべてのアウトカムに関して、途中脱落者によるバイアスリスクのため、中程度であった。
・分析に含まれた試験はすべて、企業による資金提供または後援があった。
・本レビューでは、経済データについては検討されなかった。

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(ケアネット)