多くのアルツハイマー病(AD)患者は、食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。これまでのいくつかの報告によると、リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。香川大学の角 徳文氏らは、AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。
リバスチグミンパッチはAD患者の食物摂取不良や食欲不振を改善させる可能性
対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究(Attitude Towards Food Consumption in Alzheimer's Disease Patients Revive with Rivastigmine Effects study)」にて募集した、食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。対象患者に、リバスチグミンパッチを16週間使用した。患者の食物摂取量、体重、MMSEスコア、すべての有害事象を調査した。
AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性を調査した主な結果は以下のとおり。
・AD患者38例(年齢:86.2±5.4歳)を調査した。
・ベースライン時の平均MMSEスコアは、10.1±7.0であった。
・リバスチグミンパッチ使用1週目で、食物摂取量(54.9±98.0g、p<0.01)および食物摂取率(9.3±17.6%、p<0.01)の増加が認められ、試験期間を通じて維持された。
・多重線形回帰分析では、独立変数が食物摂取量または食物摂取率と有意な関連を示さなかった。
・MMSEスコアのより高い群では、食物摂取量に変化傾向が示されたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。
著者らは「リバスチグミンパッチは、AD患者の食物摂取不良や食欲不振を改善させる可能性があることが示唆された」としている。
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(鷹野 敦夫)