低血糖を医師に言わない患者は43.9%

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/05/26

 

 5月15日、都内においてサノフィ株式会社は、「インスリン-ライフ・バランス調査」と題してメディアセミナーを開催した。
 セミナーでは、講師に寺内 康夫氏(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授)を迎え、糖尿病の現状、治療におけるインスリンの位置付けのほか、同社が行ったWEB調査「インスリン-ライフ・バランス」について説明を行った。

糖尿病治療は個別的な時代へ
 現在の糖尿病治療は、患者の年齢、合併症の状況、生活環境を見据え、個別に治療を実施している。また、治療戦略として、定期的に治療を見直すことで、血糖コントロールが悪い期間をできる限り短くする取り組みがなされている。そのため、早い段階から基礎インスリンと経口血糖降下薬を併用した治療が行われるようになってきている。新しい治療薬の開発や非専門医の糖尿病診療への取り組みもあり、糖尿病登録患者では平均HbA1cは7.46%(2002年)から7.00%(2013年)へと改善している。
 一方で、インスリンを処方する医師が懸念することとして、体重増加のほかに、低血糖のリスク(専門医:43.0%、一般内科医:62.1%)があり、血糖コントロールと低血糖の発生防止のバランスをいかにとるか、今後も模索が続くと思われる。

低血糖の予防は「とくにしていない:80.5%」
 「インスリン-ライフ・バランス調査」は、全国20歳以上のインスリン投与患者707名(1型:76名、2型:631名)を対象として、とくに「低血糖」に着目し、その発症実態を調査、低血糖の状況と日常生活への影響、さらにインスリン療法に対するアンメットニーズを把握する目的で行われたものである(インターネット調査、調査期間:2015年1月10日~1月19日)。
 その結果、インスリン使用患者の47.0%が「日中に低血糖を経験したことがある」と回答した。また、そうした場合、「必ずしも医師に話さない」患者が43.9%に上ることが判明した。
 「低血糖による不便さや制限について」は、半数の患者が「不便を感じていない」と答える反面、日常の食生活(24.9%)、外食(22.5%)、運動/スポーツ(16.5%)、旅行(14.7%)など日々の活動に支障を感じていることがわかった(重複回答)。
 直近3ヵ月間で低血糖を経験した患者に「自身による低血糖予防法」を聞いた問いでは、「とくに対処していない」が80.5%と多く、以下「補食」(46.6%)、「何か飲む」(37.3%)と続いた(複数回答)。また、「自己判断でインスリン減量」(20.3%)や「自己判断でインスリン使用中断」(5.9%)という回答も見られた。

インスリン治療に望まれること
 「今後のインスリン製剤に期待すること」という問いでは、「血糖コントロールが改善される」、「安全性が確認されている」、「低血糖を起こしにくい」の順で回答が多かった。
 寺内氏は、最後に「将来のインスリン治療に望まれるアンメットメディカルニーズ」として、
 ・良好な血糖コントロール
 ・1日を通じて低血糖のリスクがより少ないこと
 ・体重増加の影響が少ないこと
 ・長期における有効性/安全性
を挙げ、レクチャーを終了した。

●調査の詳細は、サノフィ株式会社まで。

(ケアネット 稲川 進)