喫煙は、健康な人よりも統合失調症やうつ病を有する患者においてより多くみられる。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie Kim Wium-Andersen氏らは、喫煙は一般集団における抗精神病薬の使用、統合失調症、抗うつ薬使用やうつ病の発症原因となっていると仮定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連と比較を行った。その結果、喫煙は、統合失調症の発症に影響しているようだが、うつ病には影響しないようだという見解を報告した。International Journal of Epidemiology誌2015年4月号(オンライン版2015年6月7日号)の掲載報告。
検討は、20~100歳のデンマーク一般集団6万3,296例(非喫煙者2万3,282例、喫煙者4万14例)について、自己申告による喫煙強度(1日当たりの本数)と、喫煙強度に関連するCHRNA3遺伝子の多型(rs1051730)の情報を用いて行った。検討結果について、Psychiatric Genomics Consortiumにおける統合失調症患者のそれとの比較も行った。
主な結果は以下のとおり。
・喫煙者では、rs1051730遺伝子多型のヘテロ接合体およびホモ接合体キャリアである場合、非キャリアと比較して喫煙強度が高かった。
・さらに、現喫煙者のホモ接合体キャリアでは、非キャリアと比較して抗精神病薬使用リスクが高かった(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.02~1.31)。一方、非喫煙者における同様の比較ORは、1.07(95%CI:0.87~1.31)であった(相互作用のp:0.60)。
・また、統合失調症のORはそれぞれ1.60(0.74~3.47)、1.02(0.11~9.10)(相互作用のp:0.85)、抗うつ薬使用のORは1.02(0.93~1.13)、0.99(0.85~1.15)(相互作用のp:0.87)で、うつ病ORは0.85(0.66~1.10)、1.26(0.87~1.83)(p相互作用のp:0.30)であり、COPD発症のORは1.31(1.16~1.47)、0.89(0.58~1.36)(相互作用のp:0.16)であった。
・一般集団の現喫煙者における統合失調症および抗精神病薬使用のrs1051730アレルでみたORは、各々1.22(95%CI:0.84~1.79)、1.06(1.00~1.12)であった。
・Psychiatric Genomics Consortiumにおける検討では、現および非喫煙者を含めた統合失調症のORは、1.06(1.00~1.12)であった。
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(ケアネット)