米国・国立眼研究所(National Eye Institute:NEI)のTanya S. Glaser氏による横断的前向きコホート研究AREDS(Age-Related Eye Disease Study:AREDS)の結果、食事由来のビタミンB群の摂取は加齢による水晶体混濁の発症に影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。著者は結果について「先行研究の所見と一致しており、さらなる研究が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌2015年7月号(オンライン版2015年5月9日号)の掲載報告。
研究グループは、ルテイン/ゼアキサンチンおよびビタミンB群の食事による摂取量と白内障の有病率および発症率との関連を評価するため、AREDSに登録された55~80歳の3,115例6,129眼を平均9.6年追跡した。
ベースライン時に食物摂取頻度調査を行った。また、ベースライン時および1年ごとに水晶体検査を行い、中央判定にてグレード分類した。
評価項目は、白内障手術、ベースライン時の白内障の状態(病型と重症度)、および白内障の進行などであった。多変量モデルで既知の白内障リスク因子を調整し、報告されている食事摂取と白内障との関連を、最低五分位群を基準として比較検討した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時において、リボフラビンおよびビタミンB12の食事による高摂取と、核混濁および皮質混濁との間に逆相関の関連が認められた。
・白内障の有無による比較において、白内障の発症リスクについて、リボフラビン摂取量の最高群 vs.最低群で評価したところ、次のようなオッズ比(95%信頼区間[CI])が示された。軽度核白内障:0.78(0.63~0.97)、中等度核白内障:0.62(0.43~0.90)、軽度皮質白内障:0.80(0.65~0.99)。
・同様にビタミンB12摂取量に関しては、軽度核白内障:0.78(0.63~0.96)、中等度核白内障:0.62(0.43~0.88)、軽度皮質白内障:0.77(0.63~0.95)であった。
・ビタミンB6の摂取については、中等度核混濁のリスク減少がみられた(オッズ比:0.67、95%CI:0.45~0.99)。
・総合ビタミン剤(Centrum)を服用していない参加者において、ナイアシンおよびビタミンB12の食事による摂取量が最高位群の人で、軽度核白内障または軽度皮質白内障の発症リスク減少が認められた。
・追跡期間中に総合ビタミン剤を服用していた参加者において、食事による葉酸摂取量が最高位群の人で、軽度後嚢下混濁の発症リスクの増加が認められた。
・ベースライン時における核混濁または皮質混濁の存在あるいはその後の進行と、ルテイン+ゼアキサンチン摂取との間に統計学的に有意な関連は認められなかった。