ビタミンEとセレニウムの疫学研究において、これら抗酸化物質が前立腺がんリスクを下げるとの仮説があるが、明確なベネフィットは示されていない。また、喫煙がこれらの効果に影響する可能性も示唆されている。米国・エモリー大学のYeunjung Kim氏らはメタ解析により、ビタミンEおよびセレニウムの摂取と前立腺がんリスクとの関連性を非喫煙者と喫煙経験者(現喫煙者/元喫煙者)について比較検討した。Anticancer research誌2015年9月号の掲載報告。
メタ解析の対象は、適格基準に合致した21件の研究であった。著者らはランダム効果モデルを用い、全体および階層別メタリスク比(meta-RRs)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・ビタミンE摂取と関連する前立腺がんのmeta-RRsは、非喫煙者で1.03(95%CI:0.95~1.11)、喫煙経験者で0.98(0.90~1.07)であった。
・セレニウムについては、非喫煙者で1.09(0.78~1.52)、喫煙経験者で0.76(0.60~0.96)であった。しかし、現喫煙者における関連性は、元喫煙者におけるよりも弱かった。
・異なる曝露の評価法とアウトカム定義に則ったサブ解析により、各層全体で類似した結果が出た。
以上の結果から、著者らは「ビタミンEと前立腺がんの関連性は、喫煙により変わらない。セレニウムの摂取は、喫煙経験者において前立腺がんリスクの低下と関連しているが、現喫煙者における関連性はないことから、本知見は注意深く解釈すべきである」としている。
(ケアネット)