女性はSU薬による低血糖リスクが高い

提供元:ケアネット

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公開日:2015/09/23

 

 女性は男性よりもスルホニル尿素(SU)薬による低血糖リスクが高いことが、熊本大学の梶原 彩文氏らの研究により明らかになった。これは、SU薬による低血糖の潜在的なリスク因子として女性に焦点を当てて検討した初めての報告である。著者らは、本知見について「女性の低血糖リスクだけでなく、心血管疾患および認知症リスク、死亡率増加リスクなどを低下させるためにも、患者一人ひとりに合った治療を行うことが重要であるとの考えを支持するもの」としている。Clinical drug investigation誌オンライン版2015年9月号の掲載報告。

 いくつかの報告において、女性は男性よりも低血糖リスクが高い可能性が示唆されているが、まだ結論には至っていない。また、糖尿病治療薬が誘発する低血糖について女性であることを考慮に入れた検討はない。そこで本研究では、女性はSU薬による低血糖リスクが高いのかを日常診療において検討した。

 熊本県で行われた日本薬剤師会の薬剤イベントモニタリングプロジェクトに参加した日本人糖尿病患者2,119人を対象に、SU薬の副作用発生率を調査した。女性と低血糖症状の発生率の関連について、多重ロジスティック回帰分析を用いて、調整オッズ比(OR)および95%信頼区間(95%CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・女性と低血糖症状の発生率には、有意な関連が認められた(男性 vs.女性; OR 2.04、95%CI:1.22~3.41、p=0.007)。
・女性に特異的な低血糖のリスク因子は、糖尿病治療薬の多剤併用(2剤以上 vs.併用なし; OR 2.80、95%CI:1.17~6.67、p=0.021)、短い糖尿病治療期間(3ヵ月未満 vs.24ヶ月以上; OR:4.14、95 %CI:1.06~16.14、p=0.041)、長いフォローアップ期間(OR 1.02、95%CI:1.00~1.04、p=0.041)と同定された。

(ケアネット 武田 真貴子)