これまで、発作から解放される可能性があるにもかかわらず、60歳以上のてんかん患者に外科的切除術(RES)はほとんど施行されていない。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSandra Dewar氏らは、60歳以上のてんかん患者に対するRESの有用性を検討した。その結果、90%以上が手術により良好なアウトカムを示し、大半の患者が1つ以上の合併症を有しているにもかかわらず、50%の患者が発作の寛解を達成したことを報告した。今回の結果を踏まえて、著者らは「60歳以上のてんかん患者においてRESは安全かつ有効である。本研究のデータは、加齢を理由にRES施行の回避を考慮すべきでないことを示唆している」とまとめている。Journal of Neurosurgery誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。
研究グループは、QOL改善を含む良好なアウトカムを示すことで、これまで専門的評価の対象とならなかった本集団において、手術のアドバンテージに関する認識を高められる可能性があるとして、RESを施行した60歳以上の患者におけるアウトカムおよび生活満足度の改善状況を検討した。研究グループの施設において、薬物治療抵抗性の焦点発作に対しRESを施行した60歳以上の全患者12例を対象とした。術後に、改訂版Liverpool Life Fulfillment(LLF)ツール(最大スコア32)を適用し、発作に関するアウトカムはEngel分類システムに基づいて評価した。なお、施行患者の大半(12例中9例[75%])が、てんかん発作のほかに1つ以上の合併症を有していた。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間は3.1±2.1年であった。
・最終追跡時点において、12例中11例(91.7%)で術後のアウトカムが良好で(Engel Class I-II)、半数(12例中6例)で発作の寛解が認められた(Engel Class IA)。
・LLFデータによる評価可能症例は11例で、術後平均LLFスコアは 26.7±6であった。
・8例(72.7%)がRES施行に対し高い満足度を示し、そのうち5例(45.5%)は健康全般において手術による改善を示した。
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