治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/04

 

 治療抵抗性統合失調症では、クロザピンが標準治療として考えられている。しかし、クロザピンの使用は、多くの副作用により制限がある。また、他の抗精神病薬との無作為化比較試験の数も増加している。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMyrto T Samara氏らは、ネットワークメタ解析により、治療抵抗性統合失調症に使用可能な抗精神病薬によるすべての無作為化試験を統合し分析した。JAMA psychiatry誌2016年3月号の報告。

 MEDLINE、EMBASE、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、WHO国際臨床試験レジストリ、clinicaltrials.govより、2014年6月30日までの報告を検索した。少なくとも2人以上の独立したレビュアーにより、公表または非公表の治療抵抗性統合失調症(各試験の定義による)を対象とした単盲検または二重盲検のRCTで抗精神病薬(任意の用量および投与形態)を他の抗精神病薬またはプラセボと比較した試験を選択した。少なくとの2人以上のレビュアーが標準フォームに全データを抽出、コクラン共同計画のリスクバイアスツールで、全試験の質を評価した。データは、ベイジアン設定でランダム効果モデルを使用しプールした。主要評価項目は、統合失調症症状の全体的な変化によって測定される有効性とした。副次評価項目は、統合失調症の陽性症状と陰性症状の変化、治療への分類上の反応、何らかの理由による中止、治療の無効性、重篤な有害事象とした。

 主な結果は以下のとおり。

・40の無作為化比較試験、5,172例(男性:71.5%、平均年齢[SD]:38.8歳[3.7歳])が分析に含まれた。
・全アウトカムにおいて、有意な差は少なかった。
・主要評価項目では、オランザピンはクエチアピン(標準化平均差[SMD]:-0.29、95%CI:-0.56~-0.02)、ハロペリドール(SMD:-0.29、95%CI:-0.44~―0.13)、sertindole(SMD:-0.46、95%CI:-0.80~―0.06)よりもより有効であった。クロザピンはハロペリドール(SMD:-0.22、95%CI:-0.38~―0.07)、sertindole(SMD:-0.40、95%CI:-0.74~―0.04)よりもより有効であった。リスペリドンはsertindole(SMD:-0.32、95%CI:-0.63~―0.01)よりもより有効であった。
・オランザピン、クロザピン、リスペリドンの優位性のパターンは、他の有効性評価項目でも認められたが、結果は一貫せず、効果サイズは通常よりも小さかった。
・また、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、リスペリドン以外の抗精神病薬が有用であるとしたRCTは比較的少なかった。
・最も驚くべき発見は、クロザピンがほとんどの他の薬剤よりも有意に良好ではないことであった。

 結果を踏まえ、著者らは「抗精神病薬は治療抵抗性統合失調症患者に対し、より効果的だとするエビデンスは不十分であった。そして、非盲検とは対照的に盲検無作為化比較試験の有効性の研究結果では、他の第2世代抗精神病薬と比較しクロザピンの優位性を示す研究は少なかった」とし、「最近のエビデンスを変更するため、今後は高用量や、非常に難治性の統合失調症患者におけるクロザピン研究が最も有望であると考えられる」とまとめている。

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