近視の進行を予防する最も有効な治療はアトロピンとされているが、調節麻痺作用と散瞳作用のため二重焦点眼鏡の使用が必要となり、現実的な選択肢とはなっていない。また、アトロピンの効果には、色素が濃いアジア人種の眼と白色人種の眼とで違いがあることがよく知られている。アイルランド・Dublin Institute of TechnologyのJames Loughman氏らは、白色人種における低用量アトロピンの安全性について評価した。その結果、概して0.01%アトロピンの忍容性は良好で、重篤な有害事象は認められないことが示された。著者は、「低用量アトロピンは、白色人種において近視をコントロールするための現実的な治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年2月22日の掲載報告。
研究グループは、虹彩が明るい白色人種における近視の治療として0.01%アトロピンの受容性と忍容性を評価する目的で、18~27歳の大学生14人を対象に、0.01%アトロピンを1日1滴、5日間投与し、ベースライン、3日目および5日目に視機能とQOLを測定した。
主な結果は以下のとおり。
・0.01%アトロピンの効果は、瞳孔サイズ(p=0.04)および反応(p<0.01)に関して統計学的に有意であった。
・遠近調節力が減少したが、統計的に有意な変化ではなかった。
・視力(遠見、近見)および読速度に悪影響はみられなかった。
・羞明などの症状がわずかに増加したが、全体として0.01%アトロピンの使用に関連したQOLへの影響はなかった。
(ケアネット)