老人性色素斑(日光黒子)は、ほとんどが日光に曝された領域に生じる良性の色素沈着病変である。この病変を取り除くのにQスイッチレーザーが有効であるが、黒い肌タイプにおいては炎症後色素沈着の発生が高まることが懸念されている。タイ・マヒドン大学のVasanop Vachiramon氏らは、アジア人の日光黒子に対する有効性と炎症後色素沈着の程度をQスイッチ Nd:YAGレーザーとフラクショナルCO2レーザーとで比較する検討を行った。その結果、前者のほうが効果は優れているものの、治癒に時間を要し、痛みを伴うことを明らかにした。一方、両者で炎症後色素沈着の発生に差は認められなかったという。結果を踏まえて著者は、「日光黒子に対するフラクショナルCO2レーザー治療については、適切なパラメーターと治療頻度を明らかにするさらなる研究が必要である」とまとめている。Lasers in Surgery and Medicine誌2016年4月号(オンライン版2016年1月12日号)の掲載報告。
研究グループは、上肢に2つ以上の日光黒子を有するタイ人患者25例(スキンフォトタイプIII~IV)を登録し、2つの病変を無作為に選択してQスイッチ Nd:YAGレーザーまたはフラクショナルCO2レーザーによる単回治療を実施した。
治療6および12週後に、医師による評価、色彩計による評価および患者の自己評価を行うとともに、副作用を記録した。
主な結果は以下のとおり。
・Qスイッチ Nd:YAGレーザー(532nm)群では、6週後および12週後ともにフラクショナルCO2レーザー群と比較して、色彩計および医師による評価のいずれでも、色素沈着が有意に改善した。
・炎症後色素沈着については、両群で有意な差は観察されなかった。
・患者の自己評価に関しては、“非常に良い”が、Qスイッチ Nd:YAGレーザー(532nm)群で80%に対し、フラクショナルCO2レーザー群では8%であった。
・フラクショナルCO2レーザー群では、Qスイッチ Nd:YAGレーザー群と比較して、治癒時間が早く、疼痛スコアが低かった。
(ケアネット)