毎年5月の最終水曜日は、「World MS Day」(世界多発性硬化症の日)※1。その日を前に、多発性硬化症(MS)患者や家族などを対象とした、啓発イベント「ゆるMeeting & Sportsデー」(主催:バイオジェン・ジャパン株式会社)が、NEW PIER HALL(東京都港区)にて、5月22日に開催された。
イベントではMSの理解を深めるための講演、そして、MS患者と専門医のアドバイスを受け“世界ゆるスポーツ協会”※2とバイオジェン・ジャパンが開発したオリジナルスポーツが初披露された。イベント司会には、元・吉本芸人で現放送作家のWマコト氏、ゲストには女子レスリング選手の浜口 京子氏が招かれ、会場を盛り上げた。本イベントの概要をレポートする。
多発性硬化症(MS)とはどんな病気か?
MSへの理解を深めるため、東京女子医科大学八千代医療センター 神経内科 准教授 大橋 高志氏によって講演が行われた。
多発性硬化症(MS)は国が指定する特定疾患の1つだ。脳、脊髄、視神経などに炎症が起こることで、多様な神経症状が再発を繰り返しながら進行していく。症状としては、感覚障害、運動障害、疲労、視力障害、性機能障害、疼痛など実にさまざまである。MSは若年成人に発病することが最も多く、女性の割合が高い(平均発病年齢:30歳前後、男女比:約1 : 2~3)
1)。
MSは早期治療によって再発や進行を抑制できると考えられている。そのため、MSの認知を高めていくことは重要な課題である。
MS患者に適したオリジナル“新”スポーツとは?
MSの理解を深める講演の後、いよいよ“新”スポーツのお披露目となった。
今回行ったスポーツは「スポーツかるた」と「シーソー玉入れ」の2種類だ。どちらもMSの特徴である“疲労”を考慮したルールになっている。また、チームの協調性が求められる内容になっているため、参加者は笑顔でコミュニケーションを取り合いながらゲームを進めていた。
【MSオリジナルスポーツかるた】床に置かれた巨大なかるたに、MS患者の体のストレッチとなる動きが書かれている。相手チームより早く札を取り、札に書かれた動きをチームでこなすことができると得点が得られる。
【シーソー玉入れ】ある程度玉を入れるとカゴが傾き、玉がすべて外に出され、20秒間ゲームがストップしてしまう。ゲーム終了時にカゴが傾く“ぎりぎり”を目指して玉入れをする。また、敵チームも玉入れに参加し、カゴを傾けることができる。カゴの玉の数、敵チームの動き、制限時間をみながら、チームで戦略的に玉を入れていく。
スポーツには浜口 京子氏も参加し、ゲームを大きく盛り上げていた。また、最後は逆転優勝となるなど白熱したゲーム展開となり、イベントは終始笑顔に包まれた。
本イベントを企画したバイオジェン・ジャパン 代表取締役社長のスティーブ・スギノ氏は「このイベントを通じて、より多くの方に多発性硬化症についての知識と、患者さんへの理解を深めていただけたと思います」と述べた。このようなイベントをきっかけとして、MSの認知と理解が深まることが望まれる。
※1 World MS Day(世界多発性硬化症の日): MS世界連合と世界各国のMS協会により、MSの認知度向上などを目的として2009年制定された。
※2 世界ゆるスポーツ協会:子供から高齢者まで誰もが気軽に楽しめるスポーツを開発している団体。
(ケアネット 加藤 千恵)
1) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター