中枢神経系作用薬による高齢者入院リスクは 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/06/21 認知障害に対する中枢神経系(CNS)作用薬の効果を評価したほとんどの研究は、個々の薬剤使用に焦点を当ててきた。他のCNS作用薬を追加した際の認知機能への影響は、よくわかっていない。南オーストラリア大学のLisa M Kalisch Ellett氏らは、CNS作用薬の併用薬剤数および標準用量(1日用量)の増加と高齢患者における錯乱、せん妄、認知症による入院リスクとの関連を検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2016年6月1日号の報告。 2011年7月~2012年6月までのhealth claimsデータを用いた、後ろ向きコホート研究。対象は、試験開始前に少なくとも年1回はCNS作用薬を使用した、65歳以上のオーストラリア住民7万4,321例。錯乱、せん妄、認知症、緩和ケアを受けるための入院歴のある患者は除外された。主要アウトカムは、錯乱、せん妄、認知症による入院とした。 主な結果は以下のとおり。 ・1年間の研究期間中、401例が錯乱、せん妄、認知症のために入院した。 ・調整後の分析による入院リスクは、CNS作用薬未使用患者と比較し、2剤使用していた患者では、2.4倍(発生率比[IRR]:2.39、95%CI:1.79~3.19、p<0.001)、5剤以上使用していた患者で19倍以上(IRR:19.35、95%CI:11.10~33.72、p<0.001)であった。 ・同様に、入院リスクは、未使用患者と比較し、標準1日用量が1.0~1.9(IRR:2.64、95%CI:1.99~3.50、p<0.001)および2.0~2.9(IRR:3.43、95%CI:2.07~5.69、p<0.001)で有意に増加していた。 著者らは「CNS作用薬の多剤併用または高用量での使用は、錯乱、せん妄、認知症による入院リスク増加と関連していた。専門医は、錯乱やせん妄を呈した患者におけるCNS作用薬の影響を考慮し、治療負担を軽減しうる治療戦略を検討する必要がある」とまとめている。 関連医療ニュース せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 注意が必要、高齢者への抗コリン作用 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kalisch Ellett LM, et al. J Am Med Dir Assoc. 2016;17:530-534. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)