統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか

提供元:ケアネット

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公開日:2016/06/29

 

 統合失調症治療において、抗精神病薬に抗うつ薬を追加した際の安全性および有効性をドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のBartosz Helfer氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年6月10日号の報告。

 2015年6月までの複数のデータベースと出版物より、統合失調症に対する抗うつ薬追加とプラセボまたは未治療とを比較したすべての無作為化比較試験を抽出した。抑うつ症状と陰性症状(主要アウトカム)、全体の症状、陽性症状、副作用、精神症状の悪化、レスポンダーレートを調査した。サブグループ分析、メタ回帰分析、感度分析を実施した。また、同様に出版バイアスとバイアスリスクを調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・82件の無作為化比較試験より、3,608例が抽出された。
・抗うつ薬の追加は、各症状などに対しより有効であった。
  抑うつ症状(SMD:-0.25、95%CI:-0.38~-0.12)
  陰性症状(SMD:-0.30、95%CI:-0.44~-0.16)
  全体の症状(SMD:-0.24、95%CI:-0.39~-0.09)
  陽性症状(SMD:-0.17、95%CI:-0.33~-0.01)
  QOL(SMD:-0.32、95%CI:-0.57~-0.06)
  レスポンダーレート(RR:1.52[95%CI:1.29~1.78]、NNT:5[95%CI:4~7])
・抑うつ症状と陰性症状への影響は、これら症状の最小閾値が包含基準であった際、より堅調にみられた(抑うつ症状[SMD:-0.34、95%CI:-0.58~-0.09]、陰性症状[SMD:-0.58、95%CI:-0.94~-0.21])。
・精神症状の悪化、早期中止、少なくとも1つ以上の有害事象を経験した患者数については、抗うつ薬追加と対照群との間に有意な差は認められなかった。
・抗うつ薬を追加した多くの患者において、腹痛、便秘、めまい、口渇が認められた。

 結果を踏まえ、著者らは「主要アウトカム(抑うつ症状、陰性症状)の分析では、抗うつ薬補助療法の有用な効果は小さかった。抗うつ薬補助療法は、精神症状や副作用の悪化リスクが低いと考えられる。しかし、2次およびサブグループ解析により慎重に検討すべきである」としている。

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(鷹野 敦夫)