うつ病女性に対する避妊法に関するレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/08/05 うつ病や双極性障害の女性は、望まない妊娠をするリスクが高い。米国疾病対策予防センターのH Pamela Pagano氏らは、うつ病や双極性障害女性に対するホルモン避妊法の安全性を検討した。Contraception誌オンライン版2016年6月27日号の報告。 2016年1月までに発表された論文を対象に、うつ病や双極性障害を有する女性のうち臨床的診断またはスクリーニングツールによる検証で閾値レベル以上であった女性における、任意のホルモン避妊法を使用した際の安全性に関する論文を検索した。症状変化、入院、自殺、薬物療法の変更(増量、減量、薬剤変更)をアウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。 ・2,376件中、6件が選択基準を満たした。 ・臨床的にうつ病や双極性障害と診断された女性に対する研究は以下のとおり。 1)経口避妊薬(OCs)は、双極性障害女性の月経周期全体にわたって気分を変動させなかった。一方、OCsを使用しなかった女性では月経周期全体にわたって気分が有意に変動した。 2)デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(depot medroxyprogesterone acetate:DMPA)、子宮内避妊用具(IUDs)、不妊手術を用いた女性における精神科入院頻度に有意な差は認められなかった。 3)OCsの使用有無にかかわらず、fluoxetine、プラセボのどちらの治療群においても、うつ病女性のうつ病尺度のスコア増加は認められなかった。 ・スクリーニングツールでの測定によりうつ病の閾値を満たした女性における結果は以下のとおり。 1)OCsを併用した思春期女性は、プラセボ群と比較し、3ヵ月後のうつ病スコアが有意に改善した。 2)OC使用者は、非使用者と比較し、フォローアップ時にうつでなかった割合は同程度であった。 3)OC併用者では、IUD使用者と比較して、11ヵ月にわたりうつ頻度が少ないことが示唆された。 著者らは「6件の限られた研究から得られた結果によると、OC、レボノルゲストレル放出IUD、DMPAを使用したうつ病または双極性障害の女性では、ホルモン避妊法を使用しなかった女性と比較して、症状の臨床経過の悪化との関連はみられなかった」としている。 関連医療ニュース 妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Pagano HP, et al. Contraception. 2016 Jun 27. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」 (2014/10/08) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/17) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25)