薬剤耐性菌は長期介護施設(LTCF)における課題である。米国・シカゴ大学のLance R Peterson氏らは、日常生活動作や社交を妨げない新規の低侵襲的なプログラムで、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)疾患を減らせるかどうかを、前向きクラスター無作為化非盲検試験で検討した。その結果、ターゲットを絞った除菌を伴う現地でのMRSAサーベイランスにより、LTCF居住者における臨床的MRSA感染を有意に減少させた。American journal of infection control誌オンライン版2016年8月1日号に掲載。
著者らは、LTCF 3施設において、1年目に、介護の種類によってユニットを層別化し、介入もしくはコントロールに無作為に割り付けた。2年目にはすべてのユニットで、介入期間の開始時に2回の鼻腔内ムピロシン塗布およびクロルヘキシジン浴(1ヵ月間隔で除菌-浴を2サイクル)で全例除菌する介入に変更した。続いて、初回の除菌後、現地ですべての入所者をリアルタイムPCRでスクリーニングし、MRSA陽性者を除菌したが、隔離はしなかった。ユニットでは毎年、手指衛生について教育を行った。漂白剤による平坦面の拭き取り掃除を4ヵ月ごとに実施した。
主な結果は以下のとおり。
・1万6,773件の検査が実施された。
・MRSA感染率は、ベースライン(36万5,809患者・日で44件の感染)に比べて、2年目で65%減少し(28万7,847患者・日で12件の感染、p<0.001)、各々のLTCFで有意な減少が認められた(p<0.03)。
(ケアネット 金沢 浩子)