近年のワイングラスの大きさとワインのアルコール度数の増大によって、現在の換算率ではワイングラス1杯当たりのアルコール含有量が実際より少なく見積もられている可能性が高く、集団研究における飲酒量の過小評価につながっているかもしれない。英国・ロンドン大学のAnnie Britton氏らは、これによって起こりうる分類の間違いが、飲酒量と死亡リスクとの関連に影響するかどうか調べた。その結果、ワイングラス中のアルコール含有量を高値に設定することにより、死亡リスクの推定値が変わることが示唆された。著者らは、研究者主導のコホート研究においては、より正確なワイングラス中のアルコール含有量推定値に基づいて、換算率を再検討する必要があると提案している。Alcohol and alcoholism誌オンライン版2016年6月3日号に掲載。
英国公務員のWhitehall IIコホートの男女7,010人における1997~99年の自己申告による飲酒量は、2015年半ばまで死亡リスクにリンクしていた。著者らは、ワイングラス1杯当たりアルコール8g(1単位)の換算と同16g(2単位)の換算とで、平均飲酒量と全死因・心血管疾患・がんによる死亡リスクとの関連を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・ワイン摂取量をより高いアルコールg数に適用した場合、重度もしくは超重度の飲酒者の割合は、男性では28%から41%、女性では15%から28%に増加した。
・ワインのアルコール換算率を変更する前後において、全死因およびがんによる死亡リスクは、中等度の飲酒に比べて超重度の飲酒のほうが有意に高かった。しかしながら、ワイン換算率変更後にハザード比が減少した。
(ケアネット 金沢 浩子)