悪性黒色種(メラノーマ)は早期診断が重要であるが、患者は疾患が進行してから受診することが多い。悪性黒色種を最初に誰が発見するかによって予後にどのような影響があるかは明らかになっていなかったが、スペインのグレゴリオ・マラニョン大学総合病院 Jose Antonio Aviles-Izquierdo氏らの調査によって、皮膚科医が発見したほうが患者自ら発見した場合よりも、予後は良好であることが明らかとなった。ただし皮膚科医の発見は80%が偶発的であったことも判明した。また、本人自ら発見した患者においては、とくに70歳超で男性より女性のほうが予後良好であった。著者は「この集団が、悪性黒色種発見のための教育を行う論理的なターゲットになるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年9月16日号掲載の報告。
研究グループは、誰が最初に悪性黒色種に気付いたか、患者が受診した理由など悪性黒色種の発見パターンが予後に及ぼす影響を検討する目的で、1996~2012年に診断された皮膚悪性黒色種患者783例を対象に、誰が最初に悪性黒色種に気付いたか(例:本人、親族、医療従事者、皮膚科医)、疫学、臨床症状、組織学および予後について調査し、それらの関連を解析した。
主な結果は以下のとおり。
・患者本人が気付いた場合が多かった(53%)。
・これらの患者のうち、32%は、出血、そう痒/痛みまたは小結節増大のために受診した。
・患者本人による発見は、男性より女性に多く、男性より女性のほうが予後良好であった。
・男性は女性より、簡単には見えない部位の悪性黒色種が有意に多かった。
・皮膚科医が発見した悪性黒色種は、80%は偶発的な発見であった。
・患者本人が発見した悪性黒色種は、より厚く、潰瘍化や転移の頻度が高く、悪性黒色種による死亡と関連していた。
(ケアネット)