地中海食のアドヒアランスと加齢黄斑変性(AMD)の有病率は関連しているかについて、英国・Queen's University BelfastのRuth E. Hogg氏らが、南北欧州の地域住民をベースにした横断疫学研究を行った。その結果、地中海食のアドヒアランスが後期AMDを予防する効果があることが示唆された。ただし、先行研究で報告されていたAMDと遺伝的感受性との関連を支持する結果は示されなかった。著者は、「地中海食の導入を促す介入を開発するとともに、こうした行動変化を達成し維持できる方法を調べなければならない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年11月5日号掲載の報告。
研究グループは、欧州(ノルウェー、エストニア、英国、フランス、イタリア、ギリシャ、スペイン)の研究センター7施設において、無作為に抽出した65歳以上の高齢者5,060例を対象に検討した。眼科検査とデジタル網膜カラー写真撮影を行うとともに、過去12ヵ月間の食事摂取量について半定量的な食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。
検査画像は単一施設において、International Classification System for age-related maculopathyに従ってグレード付けし、Rotterdam staging systemを用いて5段階(AMD:0~4)に分類した。AMDステージ4は、新生血管AMD(nvAMD)および地図状萎縮(GA)を含む。ドルーゼン(drusen)については、直径125μm以上をlarge drusenとした。地中海食のアドヒアランスは、FFQに基づき地中海食スコア(MDS)で評価し、MDSスコアとAMDの関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・研究対象5,060例中、食事に関して完全なデータが得られたのは4,753例であった(平均73.2±5.6歳、女性55%)。
・MDSの増加は、未補正および交絡因子補正解析においてnvAMDのオッズ比低下と関連しており、MDSアドヒアランスが最高群(MDSスコア>6)は最低群(MDSスコア≦4)と比較して、nvAMDのリスクが有意に低下した(オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.27~1.04、傾向p=0.01)。
・MDSとの関連は、Y204Hリスクアレルで違いは認められなかった(p=0.89)。
・早期AMD(グレード1~3)は、MDSとの関連はなかった(傾向p=0.9)。
・MDSとlarge drusenとの間には弱い関連傾向(p=0.1)がみられ、MDS最高群は最低群と比較してオッズ比が20%低下した(p=0.05)。
(ケアネット)