日本における急性心筋梗塞のDoor to Balloon Time、90分を切るためには

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/23

 

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理において、90分以内のDoor to Balloon Time(DTBT)は重要な指標となるが、とくに米国や欧州以外の国では、多くの患者がこの目標を達成していない。慶應義塾大学の池村 修寛氏らは、国内の現状とDTBT遅延の予測因子について分析を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月23日号の報告。

ST上昇型心筋梗塞の半数はDoor to Balloon Timeが90分以内に達していない

 2008~13年にJCD-KiCS多施設レジストリに登録された患者より、症候発症12時間以内にプライマリPCIを施行したSTEMI症例2,428例を分析した。レジストリにおける本コホート内のDTBT推移と90分超のDTBT遅延の独立した予測因子を分析した。

 DTBT遅延の予測因子について分析を行った主な結果は以下のとおり。

・研究期間中のDTBT中央値は90分(IQR:68~115分)であり、年による有意な変化は認められなかった。
・DTBT遅延の予測因子は、末梢動脈疾患(PAD)、血管再建術歴、時間外搬送、75歳以上、搬送時の心不全、IABPまたはVA-ECMOの使用であった。
・とくに、大規模なPCI対応施設(PCI200件/年以上)は、小規模の施設(PCI200件/年未満)と比較し、DTBTが短縮されていた。

 著者らは「現在、STEMI症例の半数は、DTBTが90分以内に達していなかった。高齢者や複数の併存疾患を有する患者、時間外にPCIを実施した患者をターゲットとすることが、この改善に役立つ可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)