コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中発生率、ワクチン接種者vs.未接種者/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/09

 

 韓国・国民健康保険公団(National Health Insurance Service)のKim Young-Eun氏らが、新型コロナウイルス感染後のワクチン接種状況と急性心筋梗塞(AMI)および虚血性脳卒中との関連を調査した。その結果、新型コロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率の増加は、血栓症のリスク増加に関連しており、ワクチンを完全接種することでワクチン接種が感染後の二次合併症のうちAMIおよび虚血性脳卒中のリスク低下に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版2022年7月22日号リサーチレターに掲載。

ワクチン接種状況によるコロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率

 研究者らはワクチン未接種者とワクチン完全接種者(mRNAワクチンまたはウイルスベクターワクチンを2回接種)の新型コロナ感染後の急性心筋梗塞および虚血性脳卒中の発生率を比較した。研究には韓国の全国新型コロナレジストリ(感染と予防接種に関する)と国民健康保険公団のデータベースが使用された。対象者は2020年7月~2021年12月に無症候性感染を含む新型コロナと診断された18歳以上の成人。主要評価項目は新型コロナの診断から31~120日後に発生した急性心筋梗塞と虚血性脳卒中による入院の複合アウトカムとした。

 新型コロナウイルス感染後のワクチン接種状況と急性心筋梗塞および虚血性脳卒中との関連を調査した主な結果は以下のとおり。

・研究期間中の新型コロナ患者59万2,719例のうち、23万1,037例が該当した。そのうち6万2,727例はワクチン接種を受けておらず、16万8,310例はワクチン完全接種をしていた。
・ワクチン完全接種者は年齢が高く、併存疾患を有する者が多かった。その一方で、新型コロナの重症例はみられなかった。
・複合アウトカムの発生は、ワクチン未接種群で31例、ワクチン完全接種群で74例であり、100万人日あたりの発生率はそれぞれ6.18と 5.49だった。また、調整ハザード比[aHR]は0.42(95%信頼区間[CI]:0.29~0.62)とワクチン完全接種群で有意に低かった。
・急性心筋梗塞と虚血性脳卒中それぞれのaHRもワクチン完全接種群で有意に低かった(0.48[同:0.25~0.94]vs. 0.40[同:0.26~0.63]。
・年齢区分で見た場合、40~64歳のaHRは0.38(同:0.20~0.74)、65歳以上では0.41(同:0.26~0.66)だった。
・ただし、ワクチン接種者の転帰イベントリスクは全サブグループで観察されたものの、重症または重篤患者の一部では統計学的有意差が得られなかった。

 本調査結果は「心血管疾患の危険因子を持つ人々へのコロナワクチン接種を支持する。しかし、患者の特徴にばらつきがあり、予防接種を受けるかどうかの決定には心血管リスクに関連する可能性のある複数の因子の影響を受ける」としている。

コロナワクチン接種と心疾患

 7月25日に開催された疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会でコロナワクチン接種と「死亡」との因果関係が初めて認められた1)。これまでもアナフィラキシーなどが理由で請求が認定されたのは850件にのぼるが、死亡一時金が支払われるのは今回が初めて。認定事例は90代女性で、死因は急性アレルギー反応と急性心筋梗塞。基礎疾患として脳虚血発作、高血圧症、心肥大を有していた。このようなニュースが報道されると心疾患のある方がコロナワクチン接種をためらってしまいそうだが、第7波の爆発的に感染が広がりいつ自分が感染してもおかしくない状況下では、上記の論文を踏まえ、ワクチンの推奨はやはり大切なのかもしれない。

(ケアネット 土井 舞子)