トラコーマ性睫毛乱生症(TT)の術後の好ましくない予後が、世界的なトラコーマ撲滅への努力を妨げているという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEsmael Habtamu氏らは、無作為化単盲検比較試験の二次データを用い、TTの最も頻度が高い2つの手術法(posterior lamellar tarsal rotation:PLTR、bilamellar tarsal rotation:BLTR)における、術後TT(PTT)、眼瞼輪郭異常(ECA)および肉芽腫の予測因子を解析した。その結果、TTにおける術後の予後不良は、不適切な周辺部切開、不規則な切開、非対称の縫合位置と減張、不十分な矯正および睫毛位置と関連していることを明らかにした。著者は、「これらに対処することでTT手術の予後が改善するだろう」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。
研究グループは、瞼板結膜瘢痕に関連して眼に睫毛が接触している、または抜去のエビデンスを有するTT患者1,000例を、BLTR群(501例)またはPLTR群(499例)に無作為に割り付け、手術を行った。
ベースラインの重症度、外科的切開、縫合および矯正について、手術中および手術直後にグレード分類した後、術後6ヵ月と12ヵ月時に、盲検化された担当者によって評価した。主要評価項目は、PTT、ECAおよび肉芽腫の予測因子であった。
主な結果は以下のとおり。
・データは992例(99.2%)の試験参加者(各群496例)で利用可能であった。
・剪刀によるより多くの周辺部切開の実施が、PTTを予防する独立した因子であるという強いエビデンスが示された。PLTR群のオッズ比(OR):0.70(95%信頼区間[CI]:0.54~0.91、p=0.008)、BLTR群のOR:0.83(95%CI:0.72~0.96、p=0.01)。
・ベースラインでの重症睫毛乱生症、睫毛位置の不規則さ、手術直後の中心部矯正不足は、両群においてPTTの予測因子であった。
・PLTR群における周辺部睫毛(OR:5.91、95%CI:1.48~23.5、p=0.01)およびBLTR群における外側中心切開高≧4mm(OR:2.89、95%CI:1.55~5.41、p=0.001)は、それぞれPTTと関連していた。
・PLTR群における>2mmの縫合間隔非対称(OR:3.18、95%CI:1.31~7.70、p=0.01)およびBLTR群におけるベースラインの結膜瘢痕(OR:1.72、95%CI:1.06~2.81、p=0.03)は、それぞれECAと関連していた。
・高齢は、PLTR群(傾向のp<0.0001)およびBLTR群(傾向のp=0.03)において、それぞれECAと関連していた。
・ECA発生率について、施術医間による大きなばらつきが認められた。ばらつきの範囲は、PLTR群が19.0~36.2%、BLTR群が6.1~28.7%にわたっていた。
・PLTR術では、眼瞼の中心での不規則な後方層状切開(OR:6.72、95%CI:1.55~29.04、p=0.01)とECA(OR:3.08、95%CI:1.37~6.94、p=0.007)が肉芽腫形成に関与した。
(ケアネット)