うつ病患者へのベンゾジアゼピン併用、リスクとベネフィットは

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/28

 

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、うつ病患者に対し、より早期に抑うつ症状を改善したい場合や不安症状を軽減したい場合に短期間用いられ、抗うつ薬治療の継続を改善する。しかし、ベンゾジアゼピンは、数週間の使用でも依存性を含むリスクと関連している。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のGreta A. Bushnell氏らは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査するため、抗うつ薬を服用しているうつ病成人を対象に、併用期間の評価、長期ベンゾジアゼピン使用の推定および、その決定要因の検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2017年6月7日号の報告。

うつ病患者のベンゾジアゼピン併用処方には慎重な検討が必要

 このコホート研究には、US commercial claims databaseを用いた。2001年1月~2014年12月に抗うつ薬療法を開始した成人うつ病患者(18~64歳)のうち、診断の前年に抗うつ薬またはベンゾジアゼピンを使用していなかった患者を対象とした。併用処方の定義は、新規抗うつ薬処方と同日に新規ベンゾジアゼピンの処方を行った場合とした。主要アウトカムは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用処方率および併用期間の6ヵ月継続率とした。

 うつ病患者の抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査した主な結果は以下のとおり。

・抗うつ薬治療を開始した成人うつ病患者76万5,130例(年齢中央値:39歳、四分位範囲:29~49歳、女性:50万7,451例[66.3%])のうち、ベンゾジアゼピンの併用処方を行った患者は、8万1,020例(10.6%)であった。
・2001~14年までの併用処方開始率の平均年増加率は、0.49%であった(95%CI:0.47~0.51%)。2001年の6.1%(95%CI:5.5~6.6%)から、2012年には12.5%(95%CI:12.3~12.7%)と増加したが、2014年は11.3%(95%CI:11.1~11.5%)と落ち着いていた。
・同様の所見は、年齢層および医師のタイプによって明らかであった。
・抗うつ薬治療期間は、併用処方患者と非併用処方患者で同様であった。
・併用処方患者のうち、12.3%(95%CI:12.0~12.5%)は長期間ベンゾジアゼピンを使用していた(64.0%は初期に中止)。
・長期ベンゾジアゼピン使用の決定要因は、ベンゾジアゼピン初期投与の長さ、長時間作用型ベンゾジアゼピンを初回に処方、最近のオピオイド処方であった。

 著者らは「抗うつ薬治療を開始したうつ病患者では、10人に1人の割合でベンゾジアゼピン併用処方を行っていた。6ヵ月後の抗うつ薬治療に、有意な差は認められなかった。ベンゾジアゼピンに関連するリスクを考えると、抗うつ薬治療開始時のベンゾジアゼピン併用処方には、慎重な検討が必要である」としている。


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(鷹野 敦夫)