レーベル遺伝性視神経症(LHON)患者を対象とした低~中用量のAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2単回硝子体内注射の安全性および有効性を検討する非盲検臨床試験が行われ、LHONに対する遺伝子治療は安全で外側網膜神経線維層に悪影響を及ぼさないことが認められた。検討を行った米国・マイアミ大学ミラー医学校のJohn Guy氏らは、「本剤の高用量での臨床試験への道が開かれた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月21日号掲載の報告。
レーベル遺伝性視神経症14例を対象に視力障害を評価
研究グループは、視力障害とミトコンドリアDNA遺伝子変異(G11778A)を有するレーベル遺伝性視神経症患者14例を対象に、1眼に遺伝子治療ベクターAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2を単回硝子体内注射し、視力検査、視野検査、光干渉断層撮影(OCT)、パターン網膜電図検査(PERG)および神経学的眼科検査にて視力障害を評価した。
追跡期間は12ヵ月であった。
レーベル遺伝性視神経症への遺伝子治療の主な結果は以下のとおり。
・レーベル遺伝性視神経症患者14例の内訳は、両側性視力障害が12ヵ月以上持続している慢性患者6例(グループ1)、両側性視力障害が12ヵ月未満の急性患者6例(グループ2)、片側性視力障害患者2例(グループ3)で、12ヵ月以上追跡しえた患者は9例であった。
・グループ1およびグループ2は、ベースラインと比較して12ヵ月後の視力が治療眼で平均0.24 logMAR、他眼で0.09 logMAR、それぞれ改善した。
・グループ2を対象とした事後解析の結果、12ヵ月後における治療眼と他眼の改善の差は0.53 logMARで、これまでの急性患者の自然経過で観察された0.21 logMARより大きかった(p=0.053)。
・同様に18ヵ月後ではそれぞれ0.96 logMARならびに0.17 logMARで、さらに顕著な差がみられた(p<0.001)。
・2例で無症候性ブドウ膜炎を認めたが、治療なしで回復した。
・OCTにおける外側網膜神経線維層の厚さ(平均値)は、治療眼でベースライン54μm、12ヵ月後55μmであったのに対し、他眼はそれぞれ56μmから50μmに減少した(p=0.013)。
・一般化推定方程式法による解析の結果、PERG振幅は治療眼で他眼より約0.05μV悪化したことが示唆された(p=0.009 exchangeable)。
・その他の視機能検査では、治療眼と他眼で明らかな差はみられなかった。
(ケアネット)