乳がん関連リンパ浮腫リスクに影響する因子

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/10

 

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast cancer-related lymphedema:BCRL)は、乳がん治療中の女性にとって重大な合併症である。米国・メイヨークリニックのToan T. Nguyen氏らが大規模集団コホート研究でBCRL発症とリスク因子を調べたところ、化学療法、放射線療法、腋窩リンパ節郭清(ALND)、進行したStage、高いBMIの因子を持つ患者でBCRL発症率がより高いことがわかった。BCRLは多様な治療による後遺症であり、リスク因子も多様であることが示唆された。Annals of surgical oncology誌オンライン版2017年8月1日号に掲載。

 本研究では、1990~2010年のOlmsted County Rochester Epidemiology Project Breast Cancer Cohortを利用し、BCRLとリスク因子を調べた。BCRL発症率の推定には累積発症率推定を使用し、多変量解析のために競合リスク回帰を使用した。

 主な結果は以下のとおり。

・Stage0~III乳がん1,794例をフォローアップした(フォローアップ期間中央値10年)。
・5年以内のBCRL診断の累積発症率は9.1%であった(95%CI:7.8~10.5%)。
・腋窩手術を受けていない患者では、BCRLは発生しなかった。
・腋窩手術を受けた患者(n=1,512)において、BCRLの5年発症率は、センチネルリンパ節生検(SLN)実施患者で5.3%、ALND実施患者で15.9%であった(p<0.001)。
・手術のみで治療された患者では、ALNDとSLNとでBCRL発症率に差がなかった(5年で3.5%および4.1%、p=0.36)。
・ALND実施患者において、乳房もしくは胸壁への放射線照射の追加によりBCRL発症率が倍増した(5年で3.5 vs.9.5%、p=0.01)。
・リスクが最も高い群(>5年で25%)はすべて、リンパ節領域放射線照射および/またはアントラサイクリン/サイトキサン+タキサン化学療法を伴うALNDを実施していた。
・何らかの腋窩手術を受けた患者の多変量解析によると、ALND、化学療法、放射線療法、肥満がBCRLと有意に関連していた。

(ケアネット 金沢 浩子)