乳がん関連リンパ浮腫(BCRL)は、手術後の大きな長期合併症の1つである。BCRLにおける圧縮治療の有効性については数多く報告があるが、圧縮衣服の術後予防を評価する無作為化比較試験はない。そこで、ポーランドSt. Lazarus Hospice のKatarzyna Ochalekらにより、術後の腫脹および乳がんに関連する腕リンパ浮腫の発生率を低下における軽度弾性スリーブの潜在的役割を評価することを目的とした研究が行われた。
同試験では、45例の女性患者を、術前に、圧縮クラス1(15~21mmHg)の丸編弾性スリーブの連日着用群(CG群) 23例と圧縮なしの対照群(NCG群)22例に、無作為に割り付けた。両群とも標準化された運動プログラムを受け、腕の体積を手術前および1、3、6、9、12ヵ月後に測定された。
主な結果は以下のとおり。
・手術後1ヵ月に腫脹の減少がみられたのはCG群でのみであった。
・12ヵ月後、平均浮腫量は、NCG群で114.5mL増加、CG群では67.6mL減少した(p<0.001)。
・CG群では、3、6、9、12ヵ月後の浮腫の有意な減少がみられた。
・健康関連QOL(EORTC QLQ-C30)については、両群間で有意な差はみられなかった。
著者は、身体活動と15〜21mmHg弾性スリーブの組み合わせは、術後の腕の腫脹およびリンパ浮腫の発生を予防するための安全かつ効率的な選択肢となり得る、と結論付けている。
(ケアネット 細田 雅之)