飲酒でのフラッシング反応別の膀胱がんリスク~JPHC研究

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/15

 

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究、主任研究者:津金昌一郎氏)において、飲酒量と膀胱がんの関連を、アセトアルデヒド代謝能の代用マーカーであるフラッシング反応を含めて検討した。その結果、フラッシング反応のある男性では、飲酒量と膀胱がんリスクとの間に逆U字型の関連を示した。また、飲酒とフラッシング反応との交互作用は有意傾向を示し、飲酒によるアセトアルデヒドが膀胱がんリスクと関連するという仮説を支持する可能性を示した。International journal of cancer誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

 アセトアルデヒドの代謝酵素が不活性型であることが多い東アジア人集団において、飲酒量と膀胱がんリスクとの関連は十分に調査されていない。アセトアルデヒドは発がん物質とみなされていることから、アセトアルデヒドへの曝露の差を考慮することにより、飲酒による膀胱がんリスクをより正確に評価することができる。

 本研究では、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・1990~2012年の追跡期間中に、9万5,915人(男性4万5,649人、女性5万266人、40~69歳)のうち、男性354人と女性110人が新たに膀胱がんと診断された。
・全体の分析では、飲酒量と膀胱がんリスクに有意な関連は認められなかった。
・フラッシング反応を示す男性では、1週間当たりの飲酒量(純エタノール換算、例:ビール500mLで20g)が1~150g、151~300g、301~450g、>450gの飲酒者における、非飲酒者および機会飲酒者に対するHRは、順に1.04(95%CI:0.70~1.54)、1.67(同:1.16~2.42)、1.02(同:0.62~1.67)、0.63 (同:0.33~1.20)であり、飲酒量と膀胱がんリスクとの間に逆U字型の関連を示した。
・一方、フラッシング反応のない男性では、有意な関連は確認されなかった。
・飲酒とフラッシング反応との交互作用は有意傾向(交互作用のp=0.083)を示した。

(ケアネット 金沢 浩子)