アカントアメーバ角膜炎(AK)は重篤な視力障害をもたらす疾患である。ベルギー・AZ Sint-Jan病院のSophie De Craene氏らは、共焦点顕微鏡によるアカントアメーバ角膜炎の診断についてin vivoにて評価し、同法がとくに、PCR検査の遅延時や陰性または実施不可のときの診断に役立つことを示した。共焦点顕微鏡は、AKの標的像および栄養体像を特徴的に捉えることができ、高輝度物体クラスタも非常に特異的に捉える。しかしAKの特徴に対する全体的な感度は低いという。著者は、「臨床的特徴、微生物学的試験(角膜病巣を掻爬して得た検体の直接検鏡と培養)およびPCRに加え、共焦点顕微鏡を用いることで、より迅速な診断と治療の開始が可能となり、予後の改善につながるものと思われる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年9月28日掲載の報告。
研究グループは、参照診断技術としてPCRを用い、アカントアメーバ角膜炎を診断するための共焦点顕微鏡診断基準を確定する後ろ向き症例対照研究を行った。
PCRでAK陽性患者50例(患者群)と、同AK陰性だが細菌性、真菌性、ウイルス性または免疫性角膜炎患者50例(対照群)を登録し、角膜炎急性期に共焦点顕微鏡を用いて観察を行ってデータを前向きに記録した後、後ろ向きに分析した。
主要評価項目は、AKを示唆する共焦点顕微鏡像で、多変量ロジスティック回帰分析にて顕微鏡像のタイプとPCRでのAK陽性との関連について評価した。
主な結果は以下のとおり。
・次の4つの顕微鏡像が、PCRでのAK陽性と有意に関連した(p<0.05)。
輝点(円形あるいは卵形の二重壁のない高輝度物体、直径<30μm)
標的像(低反射ハローのある高輝度物体、直径<30μm)
高輝度物体クラスタ(直径<30μm)
栄養体像(直径>30μm)
・特異度は、標的像と栄養体像が100%、高輝度物体クラスタは98.2%、輝点は48.2%であった。
・AKの診断を、標的像、高輝度物体クラスタまたは栄養体像(3つの特徴のうちの1つ以上を認めた場合とする)で行った際の、共焦点顕微鏡の陽性適中率は87.5%、陰性適中率は58.5%であった。
(ケアネット)