70%の人は痛みを我慢している

提供元:ケアネット

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公開日:2017/10/19

 

 ファイザー株式会社は、全国の慢性疼痛を抱える20代以上の男女約9,000人を対象にインターネット調査を実施した。

 調査の概要は次のとおり。
調査期間:2017年6月2日~19日
調査対象:47都道府県8,924人
スクリーニング条件:
(1)週2回以上の頻度で「痛み」が起こる
(2)3ヵ月以上「痛み」が続いている
(3)疼痛の11段階の痛みスケールで、4以上の強さの痛み
方法:インターネットアンケート調査

痛みがあっても我慢する人は66.6%
 「痛みがあってもある程度、我慢するべきだと思っていますか」という質問では、「非常にそう思う」(10.5%)と「ややそう思う」(56.1%)を合わせると66.6%となり、「痛み」があっても我慢をすると考えている人が7割近くにのぼった(参考:2012年調査では合わせて74.3%)。

 また、「痛いということを、簡単に他人に言うべきではないと思いますか」に対しては、「非常にそう思う」(9.7%)と「ややそう思う」(44.5%)が54.1%となり、依然として「痛み」を自分だけで抱えている人が半数以上を占める結果だった(参考:2012年調査では合わせて55.7%)。

 次に、「長く続く痛みに対して、痛みが治ることを諦めていますか」では、「非常にそう思う」(19.9%)、「ややそう思う」(49.2%)で69.1%となり、約7割の回答者が痛みの治療を諦めていることが判明した。

 続く質問、「あなたは『長く続く痛み』の治療のため、通院したことがありますか?」には32.8%が「いいえ」と回答し、3人に1人がそもそも医療機関に受診しない現実が明らかとなった。そして、「いいえ」と回答した人に「なぜ通院していないのですか」と質問したところ、複数回答で「通院するほどでもないと思ったから」(36.6%)、「通院しても治らない気がするから」(33.8%)、「通院する費用がかかるから」(31.9%)の順に多かった。

 さらに、「あなたが、今まで(5年以内)に行ったことのある、『長く続く痛みに対する対処法』はどのようなものがありますか」への複数回答では、「病院・医院で処方された薬」(52.0%)、「(柔軟体操、マッサージ、患部の温冷などで)自己対処している」(32.6%)、「整体、鍼灸、接骨院、マッサージなどで治療を受けている」(27.3%)という順で多かった。

 「長く続く痛みの治療について、どのようなきっかけがあると医療機関を受診しようと思いますか」という質問では、複数回答で「日常生活に大きな支障が出たとき」(62.2%)が一番多く、「あまりにも症状がつらいと感じたとき」(56.3%)、「具体的な疾患の可能性があるとわかったとき」(27.7%)という順で多かった。

栃木県、愛媛県の人は我慢強い!?
 次に「あなたは長く続く痛みを感じた際に我慢しますか」で、「必ず我慢する」「だいたい我慢する」の回答を地域別にみると、栃木県(81.6%)、愛媛県(78.8%)、和歌山県(78.1%)の順で多く、一方、少ない地域は、神奈川県(68.3%)、静岡県(69.7%)、埼玉県(69.8%)の順であった。

 また、「長く続く痛みがあってもある程度、我慢するべきだと思っていますか」に「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答したのは、栃木県(74.7%)、千葉県(71.8%)、島根県(71.7%)の順で多く、少ない地域は順に、秋田県(60.2%)、広島県と山梨県が同順位(61.1%)、大阪府(61.2%)だった。

 「長く続く痛みに対して、痛みが治ることを諦めていますか」では、「非常にそう思う」「ややそう思う」の回答が、愛知県(75.7%)、鹿児島県(74.6%)、千葉県(74.5%)の順で多く、沖縄県(60.6%)、大分県(61.9%)、徳島県(62.1%)の順で少なかった。

痛みと向き合って早期治療への取り組みを
 本調査について、中村 雅也氏(慶應義塾大学 医学部整形外科 教授)は、「運動器の痛みが長期化することでQOLにも大きな影響を及ぼすことがすでに報告されており、痛みの種類に応じた早期の診断と適切な治療を行う必要がある」と指摘する。また、「実際に医療機関を受診するきっかけは『日常生活に大きな支障が出たとき』が最も多く、日常生活に大きな影響が出るまで、放置してしまう傾向がうかがえる」と分析。「痛みの治療を諦めずに自身の痛みを正確に把握し、適切な治療を行うために、医療機関を受診することが重要。痛みを我慢して放置するのではなく、痛みと向き合って早期治療に取り組んでもらいたい」とコメントを寄せている。

■参考
ファイザー株式会社 47都道府県 長く続く痛みに関する実態 2012年vs 2017年比較調査

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(ケアネット 稲川 進)