atezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/23 OAK試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の2~3次治療における抗PD-L1抗体atezolizumabとドセタキセルを比較した第III相試験である。横浜で行われた第18回世界肺癌会議(WCLC)では、兵庫県立がんセンターの里内美弥子氏が、OAK試験の2年の結果と長期生存患者の特徴について発表した。 OAK試験では850例の既治療NSCLC患者が、atezolizumabとドセタキセル群に1対1で割り付けされ、6ヵ月以上追跡されている。無作為割り付け時から24ヵ月以上生存している患者を長期生存例(LTS)、それ未満の患者を非長期生存例(Non-LTS)として、それぞれの成績を分析した。 2年全生存(OS)率はatezolizumab群31%、ドセタキセル群21%と、atezolizumab群で高かった。LTS患者の割合をみると、atezolizumab群では28%、ドセタキセル群では18%であった。LTS患者は、女性、非扁平上皮がん、PS良好例で多くみられた。 LTS患者の組織別の2年OS率をみると、非扁平上皮がんでは、atezolizumab群35%、ドセタキセル群24%であった。扁平上皮がんでは、atezolizumab群20%、ドセタキセル群12%であり、いずれもatezolizumabで高かった。 LTS患者のPD-L1発現状況別の2年OS率をみると、もっともPD-L1発現が高いTC3 or IC3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞の50%以上または免疫細胞10%以上)においては、atezolizumab群43%、ドセタキセル群17%、TC2/3 or IC2/3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞または免疫細胞の5%以上)においては、atezolizumab群35%、ドセタキセル群23%、TC1/2/3 or IC1/2/3群(PD-L1陽性:腫瘍細胞または免疫細胞の1%以上)においては、atezolizumab群32%、ドセタキセル群24%、TC0 and IC0群(PD-L1陽性:腫瘍細胞と免疫細胞の1%未満)においては、atezolizumab群30%、ドセタキセル群18%であった。いずれの発現状況でもatezolizumabがドセタキセルに比べて高かったが、atezolizumabではとくにPD-L1高発現群で良好な傾向にあった。 各群のLTSとNon-LTS患者の奏効率(ORR)を比較すると、atezolizumab群はそれぞれ39%と14%、ドセタキセル群ではそれぞれ32%と9%であり、いずれもLTS患者で高かった。 atezolizumab群でbeyondPD治療を受けた割合は、LTS患者では62%、Non-LTS患者では45%であった。LTS患者には早期にPDとなった症例も含まれており、長期生存とbeyondPD治療の関連が示唆される。 atezolizumabのGrade3~4の治療関連有害事象(TRAE)の発現はLTS患者で39%、Non-LTS患者で38%と、LTS患者で大幅に治療期間が長いにも関わらず同等であった。TRAEによる治療中止はLTS患者で8%、Non-LTS患者でも8%であった。 atezolizumabはドセタキセルに比べ、優れた2年生存を示し、このベネフィットは組織型、腫瘍縮小効果、PD-L1発現を問わず一貫していた。 ■参考 OAK試験(Clinical Trials.gov) ■関連記事 非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017 抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet (ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児がん、定期的な症状スクリーニングで苦痛な症状が改善/JAMA(2024/11/21) 米国民の幸福度、国内格差を人間開発指数で解析/Lancet(2024/11/21) エンパグリフロジン投与終了後もCKDの心・腎保護効果が持続、レガシー効果か?(解説:栗山哲氏)(2024/11/21) 心臓MRIによるLGEはLVEFより拡張型心筋症のリスクをより良く予測する(解説:佐田政隆氏)(2024/11/21) 肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン(2024/11/21) TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド(2024/11/21) ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS(2024/11/21) 低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024(2024/11/21) 大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる(2024/11/21) うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?(2024/11/21) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07) 救急エコー最速RUSH! (2017/07/07) 肺がん特集まとめインデックス(2017/06/20) 肺がん特集(2017/06/20)