日本人若年性認知症、診断1年後の離職率は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/29 若年性認知症(65歳未満で発症する認知症)は、患者や家族の就労に影響を及ぼす。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、勤労者自身やその家族が若年性認知症と診断を受けた後、どの程度離職するかを明らかにするため検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2017年11月7日号の報告。 レセプトデータベースを用いて、2013年4月~2015年6月に新たに認知症と診断された、勤労者40~59歳143例および、勤労者の家族40~59歳77例を対象に、コホート研究を行った。若年性認知症を有さない対照群として、若年性認知群と年齢・性別が近似した勤労者715人および家族385人を抽出し、認知症群1人に対照群5人をマッチングさせ、2016年6月までフォローアップを行った。主要アウトカムは、診断から対象者が離職(保険組合の脱退)するまでの期間とした。 主な結果は以下のとおり。 ・若年性認知症と診断された勤労者143例と対照群の年齢中央値は53歳(四分位範囲:48~57歳)、女性の割合は13%であった。勤労者の家族で若年性認知症と診断された77例と対照群の年齢中央値は53歳(四分位範囲:50~56歳)、女性の割合は97%であった。 ・離職イベントのないフォローアップ期間の中央値は、勤労者で625日(四分位範囲:477~807日)、勤労者の家族で612日(四分位範囲:492~774日)であった。 ・1年後の離職率は、若年性認知症の勤労者で14%(95%CI:8.1~19.5%)であり、若年性認知症でない勤労者(7.3%、95%CI:5.3~9.2%)と比較し、2倍高かった(HR:2.26、95%CI:1.47~3.47)。 ・家族に若年性認知症患者がいる場合といない場合における、勤労者の1年後の離職率は同程度であった(若年性認知症の家族あり[離職率:7.8%、95%CI:1.6~13.9%]、若年性認知症の家族なし[離職率:6.5%、95%CI:4.0~8.9%]、HR:1.19、95%CI:0.63~2.25)。 著者らは「本研究は雇用力のある大企業の従業員を調べているが、若年性認知症と診断された勤労者の14%は、診断の1年後に離職しており、若年性認知症でない勤労者と比較し、離職率は2倍高かった。医療従事者は、患者が若年性認知症と診断された最初の時点より、できる限り就労を継続できるよう、もしくは代替となる活動を見つけられるように、患者とその家族に対して提案とサポートをすることが重要である」としている。 ■関連記事 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sakata N, et al. J Alzheimers Dis. 2017;60:1231-1235. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] Dr.徳田のすぐできるフィジカル超実技(2017/11/07) Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07)