一般集団におけるH. pylori感染率(有病率)のトレンドの変化が、日本での胃がん死亡率の低下をもたらした主な要因と考えられている。そこで、愛知医科大学のChaochen Wang氏らは、H. pylori感染率それ自体が出生コホートパターンを示すかどうかを確認するために、日本人のH. pylori感染率を報告した研究の系統的レビューを行い、17万752人のメタ回帰分析を実施した。Scientific reports誌2017年11月14日号に掲載。
著者らは、出生年の関数としてのH. pylori感染率の異質性を説明するために、一般化加法混合モデル(GAMM)の枠組みで重回帰分析を行った。
その結果、H. pylori感染率の明らかな出生コホートパターンが確認された。出生年別に予測されたH. pylori感染率(95%CI)は、1910年60.9%(56.3~65.4)、1920年65.9%(63.9~67.9)、1930年67.4%(66.0~68.7)、1940年64.1%(63.1~65.1)、1950年59.1%(58.2~60.0)、1960年49.1%(49.0~49.2)、1970年34.9%(34.0~35.8)、1980年24.6%(23.5~25.8)、1990年15.6%(14.0~17.3)、2000年6.6%(4.8~8.9)で、1998年以降に生まれた直近のコホートでは感染率は10%以下であった。
(ケアネット 金沢 浩子)