患者の苦情(unsolicited patient complaint)が、医師の年齢によってどのように分布しているかを理解することは、患者が抱く不安の特性を知る手がかりとなる。患者の不満に関するこれまでの研究の多くは、苦情や危険な治療および訴訟と関与する可能性がある、医師の年齢や診療環境、専門性などの特性との関連について言及していなかった。米国・ヴァンダービルト大学のCherie A. Fathy氏らは、それらを評価する後ろ向きコホート研究を行い、若い眼科医のほうが高年齢の眼科医よりも患者の苦情を受けやすい傾向があることを明らかにした。著者は、研究デザインに、結論の解釈に影響を及ぼす限界があるとしたうえで、「検討の結果は患者の安全性、臨床教育および臨床実践において、実際に役立つと思われる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月30日号掲載の報告。
研究グループは、2010年以前に医学部を卒業し、ヴァンダービルト大学医療センターのPatient Advocacy Reporting Systemに加入する組織所属の眼科または神経眼科の担当医1,342例を対象に、2002~15年の間で、初めて受けた患者からの苦情について調べた。苦情の内容は、訓練を受けたスタッフが6つの主要カテゴリーの34種類に分類し分析した。
主要評価項目は、雇用開始から初めて苦情を受けるまでの期間。対象医を5つの年齢層に分け、年齢と初回苦情までの期間との関連を、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。
主な結果は以下のとおり。
・対象眼科医1,342例の年齢中央値は47歳、71歳以上は9%を占めた。74%が男性、90%が医学博士の学位を有し、73%は大学病院で診療活動を行っていた。
・追跡期間平均9.8年において、苦情を受ける率は71歳以上の眼科医が0.71/1,000日と最も低かった(年齢層が下がるごとに、1.41、1.84、2.02、1.88)。
・追跡期間2,000日(または5.5年以内)までに、最も若い年齢層群が苦情を受ける推定リスクは0.523であった。
・一方、追跡期間4,000日(>10年)でも、71歳以上群が苦情を受ける推定リスクはわずか0.364であった。
・最も若い年齢層と、次に若い年齢層の2群は、初回苦情までの期間が統計学的に有意に短かった。
・71歳以上群との比較において、苦情のリスクは41~50歳で1.73倍(95%信頼区間[CI]:1.21~2.46、p=0.002)、31~40歳で2.36倍(95%CI:1.64~3.40、p<0.001)であった。
(ケアネット)