オーストリア・ウィーン医科大学のThomas Schlegl氏らは、従来の光干渉断層法(OCT)による網膜画像で黄斑液を検出し定量化する自動測定法を開発した。検証の結果、OCTデバイスを問わず、最も一般的な滲出性黄斑疾患における網膜内嚢胞液(IRC)および網膜下液(SRF)の識別・検出の精度は優れており、定量化についても専門家による手動評価とほぼ一致することが認められたという。著者は、「網膜OCT画像の完全自動分析は、眼科学の研究・臨床における網膜診断の正確性および信頼性の改善に有用と考えられる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年12月8日号掲載の報告。
研究グループは、OCTデバイスのシラス(カールツァイスメディテック)またはスペクトラリス(ハイデルベルグ エンジニアリング)で得られた、滲出型加齢黄斑変性(AMD)400例、糖尿病黄斑浮腫(DME)400例、網膜静脈閉塞症(RVO)400例、計1,200例(各デバイス600例)のOCTボリューム・スキャンデータを用い、IRCとSRFを自動的に検出・識別・定量化する、ディープラーニングをベースとする完全自動測定法を開発した。そのアルゴリズムの性能を、盲検化された2人の読影者の測定結果と比較するとともに、正確度(ROC曲線)、精度、再現度で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・IRCの検出と定量化については、3つの黄斑病変全体で、新しい自動測定法の平均正確度は0.94、平均精度は0.91、平均再現度は0.84であり、最適な精度を達成した。
・SRFの検出と定量化についても同様に、平均正確度0.92、平均精度0.61、平均再現度0.81と高く、DMEと比較して滲出型AMDおよびRVOにおいて、その性能が優れていることが示唆された。
・新しい自動測定法は、手動測定と直線的な強い相関関係にあることが確認された(ピアソン相関係数:IRC 0.90、SRF 0.96)。
(ケアネット)