不眠症治療における睡眠衛生教育のメタ解析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/17 睡眠衛生教育は、プライマリケアにおいて不眠症の治療に用いられている。より強力な治療法として報告されている睡眠衛生教育や不眠症に対する認知行動療法が、最初から実践されるべきかについては、不明である。中国・香港大学のKa-Fai Chung氏らは、睡眠不足または不眠症に対する睡眠衛生教育の有効性に関する検討を行った。Family practice誌オンライン版2017年11月29日号の報告。 2017年5月までに6つの主要な電子データベースにアップされた研究をシステマティックに検索した。2人の研究者が独立して関連出版物を選定し、データ抽出を行い、コクランの基準に従って方法論的質を評価した。 15件のうち12研究は、睡眠衛生教育と認知行動療法の比較であった。残り3件は、マインドフルネスベースの治療との比較で、偽治療または未治療と比較を行った研究はなかった。睡眠、物質使用、定期的な運動、寝室の整理に関する一般的な知識は、カバーされていた(睡眠覚醒の規則性、7つのプログラムにおける昼寝の回避、5つのプログラムによるストレス管理)。 主な結果は以下のとおり。 ・睡眠衛生教育により、治療前から治療後に有意な改善を示した。エフェクトサイズは、小~中程度であった。 ・睡眠衛生教育は、不眠症に対する認知行動療法よりも有意に効果が低く、エフェクトサイズの差は、中~大程度であった。 ・睡眠日誌による睡眠効率に関して、治療前後の改善平均差は、睡眠衛生教育で5%、不眠症に対する認知行動療法で8%であった。ピッツバーグ睡眠質問票に関しては、それぞれ2ポイントであった。 ・主観的尺度のみ、有意であった。 ・受容性、アドヒアランス、理解、費用対効果に関するデータはなかった。 著者らは「睡眠衛生教育は、不眠症に対する認知行動療法よりも効果は低い。睡眠衛生教育が、プライマリケアにおける不眠症のための段階的ケアモデルの役割を担っているかどうかは、未解決の方法論および実施上の問題のため、確固たる結論に至っていない」としている。 ■関連記事 音楽療法が不眠症に有用 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは 不眠症になりやすい食事の傾向 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chung KF, et al. Fam Pract. 2017 Nov 29. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本における不眠症のためのインターネットベース認知行動療法に関する調査 医療一般 日本発エビデンス(2019/08/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] タクシーと救急車の運転手、アルツハイマー病による死亡率低い/BMJ(2024/12/27) 低リスクDCIS、積極的モニタリングvs.標準治療/JAMA(2024/12/27) アルツハイマー型認知症になりたくなければタクシーか救急車の運転手になろう?(解説:岡村毅氏)(2024/12/27) 診療所のマイナ保険証利用率は10%未満の施設が約7割/日医(2024/12/27) 抗精神病薬の多剤併用は50年間でどのように変化したのか(2024/12/27) 心房細動の早期発見、早期介入で重症化を防ぐ/日本心臓財団(2024/12/27) 食品中の果糖はがんの進行を促進する?(2024/12/27) 明晰な頭脳の維持には骨格筋量の維持が重要(2024/12/27) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答15<下巻>(2020/06/10) Dr.皿谷の肺音聴取道場(2020/05/10) 岡田正人のアレルギーLIVE(2020/04/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03)