毎日の食事で摂取する多価不飽和脂肪酸(PUFA)の量と緑内障の罹患率との間に関連があるか確認することで、緑内障の発症に関与する食事のリスク因子を修正できる可能性がある。米国・UCLAデイビッド・ゲフィン医科大学院のYe Elaine Wang氏らは、2005~08年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析し、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量が多いほど、緑内障性視神経症のリスクが低いことを明らかにした。しかし、1日のPUFA総摂取量が四分位で2番目と3番目に多い群では、緑内障のリスクが有意に高かった。この結果について著者は、「ω-6とω-3脂肪酸の相対的な摂取量および他の交絡併存症(confounding comorbidities)によるものと思われる」との見解を示したうえで、「本研究から、毎日のPUFA摂取量を全体的に制限するとともに、ω-3脂肪酸の割合を増やすことが緑内障の予防につながる、という仮説を立てることができるだろう」と述べ、「この仮説を評価するため、長期的な調査または無作為化臨床試験が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年12月21日号掲載の報告。
研究グループは、ω-3脂肪酸を含むPUFAの1日摂取量と緑内障との関連を分析する目的で、横断研究を行った。対象は、2005~08年のNHANESにおいて、眼の健康と食事摂取アンケートに参加し、臨床検査および眼科検査(Frequency Doubling Technology視野計、視神経乳頭写真を含む)の結果が入手可能であった40歳以上の3,865例であった。今回の研究に関するデータは、2017年5月1日~30日にデータベースからダウンロードされ、同年6月1日~10月1日に解析が行われた。
調査項目は、ω-3脂肪酸を含むPUFAの1日摂取量と、ロッテルダム診断基準(視神経乳頭陥凹または非対称の形成、ならびに視野欠損)に基づく緑内障の罹患率であった。
主な結果は以下のとおり。
・今回の横断研究に含まれた参加者の重み付け調査数は8,364万3,392例で、このうち4,366万327例(52.2%)が女性、307万6,410例(3.7%)が緑内障の基準を満たした。
・緑内障有病者は、非有病者と比較し高齢であった(平均年齢:61.4±0.8歳 vs.53.7±0.4歳、p<0.001)。
・EPAおよびDHAの1日摂取量の多さは、緑内障のリスクが有意に低いことと関連していた(それぞれ、オッズ比[OR]:0.06[95%信頼区間[CI]:0.00~0.73]、OR:0.06[95%CI:0.01~0.87])。
・しかし、1日のPUFA総摂取量が第2四分位および第3四分位の群は、緑内障のリスクが有意に高かった(それぞれ、OR:2.84[95%CI:1.39~5.79]、OR:2.97[95%CI:1.08~8.15])。
(ケアネット)